こんにちはよしこばです。今回の記事では、「社会保険の扶養」から外れるボーダーラインについて説明します。キーワードは年収130万円ですが、働き方によってボーダーラインは変わります。ぜひ、これからの働き方を決める際に参考にして頂ければと思います。
こちらの内容はYouTube動画でも説明していますので、よろしければあわせてご覧ください。
社会保険の扶養ルール:106万円の壁と130万円の壁
前回の記事で紹介した「年収106万円の壁」は、社会保険の強制加入に関する話でしたが、勤務先や働き方によって対象となる方が限定されていました。
でも、130万円の壁はそういった条件に関わらず、全ての人が対象となります。つまり、年収130万円を超えると、自ら健康保険や年金の保険料を支払わなくてはいけません。
例えば夫が正社員というケースで考えてみましょう。妻の年収が給料106万円未満(フリーランスなどは所得48万円未満)であれば、妻は夫の扶養に入ることができます。
この場合、妻は自分の社会保険料を払う必要はありません。夫の健康保険や国民年金の恩恵を無料で受けることができます。
しかし、妻の勤め先が501人以上の規模で、月収8万8千円、年収で言うと106万円を超える場合は、その会社の社会保険に入ることになります。そうなると、自分で保険料を負担しなくてはいけません。
そして、働き方によって年収106万円の壁が適用されない場合は、年収130万円で社会保険の扶養から外れることになります。
130万円の計算は扶養者の健康保険のルール次第
次に、ここまで説明してきた「130万円」という数値が、具体的に何を意味するのかを説明します。
これまでの記事で紹介した「年収98万円の壁」や「年収103万円の壁」は、税金のルールで明確に決められています。ですから、超えないようにコントロールするのは難しくありません。
しかし、今回の130万円は、扶養者の会社の健康保険のルールによって変わります。「収入(売上)金額が130万円を超えたらアウト」ということもあれば、「売上から経費を引いた金額が130万円を超えたらアウト」というケースもあるのです。
この点を確認するには、扶養者の方の健康保険のルールを確認しておいて下さい。特にフリーランスの場合、売上金額で判断されるのか、売上から必要経費を引いた所得金額が基準になるのかは、大きな違いですから、きちんと調べておきましょう。
国民健康保険と国民年金の特徴
正社員として働いている方や、年収106万円の壁が適用される場合には会社の健康保険と厚生年金に入ります。ですがそれ以外で、年収130万円を超えた方は国民健康保険と国民年金に加入するのが一般的です。この違いを見ていきましょう。
国民健康保険と会社の健康保険の違い
会社の健康保険と国民健康保険の違いはいくつかあります。まず受け取れる補償などのメリットは、明らかに会社の健康保険の方が手厚いです。
具体的には出産手当金と傷病手当金という、出産した時や病気やケガで仕事ができなくなった時にもらえる手当金があります。一方、国民健康保険にはそういったものはありません。
また、国民健康保険の保険料は全額自己負担です。会社の健康保険が、会社と従業員で保険料を折半して支払う仕組みになっているのと比べて、保険料が多くかかります。
実際の保険料の計算はお住まいの市区町村によって違いますので、いくら支払うことになるのか、あらかじめ保険料の額を調べておいた方がよいでしょう。
130万円の壁の人が加入するのは国民年金
次に年金の話です。106万円の壁が適用される方は厚生年金ですが、130万円の壁の方は国民年金に加入します。ここでもまた違いがあります。
厚生年金であれば、保険料は会社と本人で折半することになっています。一方、国民年金には折半の仕組みがないので、やはり全額自己負担です。
ただし、保険料に関しては、国民年金の保険料は高いというわけではありません。国民年金の保険料は月額1万6千円程度に固定されていて、収入がいくら増えても保険料は増えないからです。
厚生年金は収入に応じて保険料が増えていくので、国民年金の保険料よりは高くなります。
これだけ聞くと、国民年金のほうがよいと思われるかもしれませんが、厚生年金は保険料が増えていけば、将来もらえる年金も増えていきます。さらに、自分が負担している厚生年金保険料と同じ額を、会社が上乗せして積み立ててくれているので、将来もらえる年金もその分多くなります。
ところが、国民年金の場合は保険料が少なうえ、会社負担もないので、将来もらえる年金は最大6万円くらいです。
国民年金だけでは正直食べていけないので、以前紹介した小規模企業共済や付加年金などを活用して、別途自分で積み立てをしておく必要があるでしょう。
会社勤めなら106万円の壁が適用される働き方を選ぶのも一案
最後に、この年収130万円の壁への対処について考えてみます。
会社に勤めるのであれば、その会社やご自身の働き方が、年収106万円の壁か、130万円の壁のどちらが適用されるかを確認しておいた方がよいでしょう。
有利なのは、会社の健康保険と厚生年金なので、106万円の壁が適用される働き方を選んで社会保険に入るというのも、一つの考え方だと思います。
フリーランスは手取りを増やすため、年収160万円を目指したい
フリーランスとして仕事をしていきたいという人が、年収130万円を超えると、保険料としておそらく年間30万円くらいかかるはずです。それまで扶養に入っていた時には払わなくてすんだ保険料を、約30万円も払わなければいけません。
ですので、手取り収入を増やすことを考えると、年収が130万を超えるなら、この保険料の分をカバーできるよう、少なくとも年収160万円を目指したいところですね。
社会保険の扶養が外れると支出への影響が大きい
ということで、今回の年収130万円の壁の解説は以上になります。
社会保険の扶養が外れるのは、税金の扶養が外れることよりも支出への影響が大きい問題です。これから収入を増やしていこうとされている方は、こういったルールを理解した上で、ご自身の働き方を検討してみて下さい。
次回は年収150万円の壁について説明しますが、これは税金の話です。今回とはまた違った話になりますが、引き続きお読み頂ければと思います。
このブログでは、主にフリーランスの方に向けて、仕事関係やお金関係、税金だけでなく、社会保険や老後資金なども幅広く情報を発信していきます。よろしければ「本ブログの更新通知を受け取る」に登録頂けると嬉しいです。
※本記事は執筆時点の情報に基づき掲載しています。制度のルールなどが変わる可能性がありますので、最新の情報をご確認ください。
【参考リンク】
・【収入の壁】給料103万円は「所得税」がかかるボーダーライン
・「扶養判定」のルールがややこしい理由と、理解するためのポイント
・老後生活がちょっとリッチに 絶対お得な「付加年金」って何?