今回はフリーランスの老後の年金を増やす方法のひとつ、「付加年金」という制度をご紹介します。この制度は、場合によってはリターンが1,000%になる可能性もある、とても有利なものです。まだ加入していない方は、ぜひ検討して頂けたらと思います。
こちらの内容は動画でも説明していますので、よろしければあわせてご覧ください。
フリーランスが受け取る国民年金では老後資金に足りない
こんにちは、マネーライターの小林義崇です。
おかげさまでフリーランスとして仕事を続けることができていますが、ふと将来に不安を感じることがあります。
1年後はまだ大丈夫として、その後は? さらに数十年後、いわゆる「老後」といわれる年代になったとき、僕の生活はどうなっているのか。
今の国民年金のルールでは、20歳を過ぎてから60歳までの最長40年間、漏れなく保険料を納めたとして、将来受け取る国民年金は年間78万円に過ぎません。フリーランスの年金は、サラリーマンの方の厚生年金のようにはいきません。
ですから、僕がフリーランスを続ける以上、もしかすると生活に困って息子たちに頼ることになるかもしれません。逆に、使い切れないほどのお金をもっているかもしれませんが。その答えは誰にもわかりません。
だから老後のことをあまり考えても意味がないのですが、「今からできること」には多少は目を向けておくべきだと思っています。そう、老後に向けた準備です。
「めんどくさい!」という声が聞こえてきそうですね。同感です。僕は、老後のことばかりを気にして、貴重な「今」という時間をむやみに使うつもりはありません。
そんな人にピッタリだと思うのが、今回紹介する「付加年金」という仕組みなのです。詳しくは記事中で説明しますが、積み立てた金額がときには10倍になって戻ってくる可能性もある制度になっています。
付加年金とは
ここから付加年金の詳しい説明をしていきます。
付加年金というのは、毎月納めている国民年金保険料の16,610円(令和3年度)に、付加保険料として月々400円を追加で支払うことで、将来の年金を増やすことができるという制度です。
付加年金は申し込みをしなければ利用できず、市区町村の国民年金の窓口で申請手続きをする必要があります。ここから説明するとおりお得な制度なので、まだの方はぜひ検討してみてください。
付加年金のメリット
ここから付加年金のメリットについてご紹介していきます。
メリット1 「付加保険料を納めた月数×200円」の年金を増やせる
付加年金の第一のメリットは、何と言っても将来もらえる年金が増えることです。
毎年の国民年金に加算される金額は、「付加保険料を納めた月数×200円」で求めることができます。例えば20歳から60歳まで、40年間の国民年金の保険料と共に付加保険料も納めた場合、480か月×200円で9万6千円の年金が増えます。そしてこの9万6千円は、毎年受け取ることができます。
つまり将来加算される年金の額は、付加保険料を納めた期間が長ければ長いほど、そして、老後は長生きすればするほど、増えていきます。
では、40年間で支払う付加保険料の総額はいくらになるでしょうか? 、400円×12か月×40年で19万2千円です。つまり、40年間トータルで19万2千円を多く支払えば、将来もらえる年金が毎年9万6千円増えます。
9万6千円を2年間受け取れば、19万2千円になりますから、国民年金を受け取れる65歳から67歳までの2年間、年金をもらうことができれば、付加保険料として納めた全額の元が取れます。そして後は受け取る期間が長いほど、リターンが増えていくということです。
付加保険による追加年金額のシミュレーション
ということで、仮に40年間付加保険料を納めたとして、どれくらい年金を増やす効果があるのか、ちょっとシミュレーションしました。
このとおり、ほとんど確実に付加保険料は元を取ることができます。平均寿命からすると、20年程度は受け取れるケースが多いので、リターンに換算すると1,000%に上ります。これを投資だと考えると、ものすごく有利ですよね。
以前紹介した「小規模企業共済」も老後資金の準備には非常にお勧めなのですが、リターンの率としてはそこまで高くありません。小規模企業共済は節税目的、付加保険は老後に使えるお小遣いを増やすようなイメージです。
メリット2 付加保険料は全額が社会保険料控除の対象
付加年金には他にもメリットがあり、月々400円の付加保険料が全額が社会保険料控除となり、所得税や住民税を下げる働きがあります。
付加保険料は年間4,800円ですから、節税効果としては、これに所得税や住民税の税率をかけた金額で、一般的には1,500円くらいになると思います。この節税効果を考えると、実質的に負担する付加保険料は年間3,000円ほどと考えてもよいのかもしれません。
最後に付加年金の注意点についてお伝えしておきます。
付加年金の注意点
付加年金は国民年金基金と併用することはできません。今回の記事では国民年金基金について詳しく解説しませんが、これもやはり将来の年金を増やすための仕組みです。
国民年金基金は、月々、国民年金基金を積立ておくことで、それに応じて将来もらえる年金を増やせる制度です。万一の場合に、遺族に一時金が支給される「保証期間」を設定できるプランも選べたり、掛け金の額を自由に設定できたりと、自由度が高いのが特徴です。
そういった細かい設計をしたい方であれば、国民年金基金を検討されるのもよいと思いますが、将来にわたって掛け金を払い続ける収入があるか不安を感じるという方や、あまり細かいことを考えるのは避けたいという方であれば、まずは付加年金を検討されるのがよいでしょう。
支払い期間が長いほど受け取りアップ
ということで、今回は付加年金という制度について説明しました。
お伝えしたように、付加年金というのは、付加保険料を払っている期間が長ければ長いほど、有利になります。だからフリーランスとして独立されている方で、加入を考えているのであれば、できるだけ早く始めることをお勧めします。
「もっと早く知りたかった!」という方は、2年分までは遡って納めることができるので、年金の窓口に相談してください。
月々400円の付加保険料を納めることで、将来の年金を増やすことができる、とても有利な制度だと思います。
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※本記事は執筆時点の情報に基づき掲載しています。制度のルールなどが変わる可能性がありますので、最新の情報をご確認ください。
【参考リンク】
日本年金機構(付加年金)
https://www.nenkin.go.jp/service/kokunen/hokenryo/20150331-03.html
【YouTubeはこちら】
[…] ・老後生活がちょっとリッチに 絶対お得な「付加年金」って何? […]