こんにちは、よしこばです。
今日は節税をテーマにした記事です。節税という言葉を聞いて、どんなイメージが浮かびますか? 僕はライターとして節税関係の記事を書くことがありますが、それがヤフーニュースに掲載されると「自営業者が節税をしているのはズルい」といったコメントを見かけることがあります。
これについて考えていて、「まったくズルいことではないな」という結論に至りましたので、詳しくお話したいと思います。
節税についてしっかり理解することで、必要以上の税金を支払わなくてすむようにしていきましょう。
*本記事の内容はYouTubeチャンネルでも公開しています。よろしければご視聴、チャンネル登録をお願いいたします。
この記事のポイント:「節税」「脱税」「租税回避」とは何か?
それでは最初に今日のポイントについて説明をします。まずお伝えしたいのは、言葉の定義です。
節税
「節税」とは、辞書を見ると「非課税制度・控除制度等を活用して適法に税金額を軽減すること」という説明がありました。
ポイントは「適法に」という箇所です。法律に則った形で税金を少なくするということが「節税」という言葉の意味です。そう、節税は合法なことなのです。
脱税
次にお伝えするのが「脱税」という言葉です。節税と一文字しか違いませんが、意味は大きく違います。こちらは「本来は納めなくてはならない税金を、ごまかすこと」という意味です。当然ながら違法なのです。
租税回避
もうひとつ、節税とも脱税とも違う言葉として、「租税回避」というものもあります。これは合法ですが、法律がもともと予定していたことではない方法で、税負担を抑えるという方法です。あくまで合法ですが、かなり専門性の高い節税方法です。これは一般的なフリーランスの方であれば、考える必要のないものだと思います。
節税はズルくない
結論として、節税は、合法的に、しかも、もともと法律が予定していた方法を使って税金を軽くするわけですから、まったくズルいことではありません。フリーランス、自営業者として生きていくには節税は不可欠だと僕は思っています。ただ、少し専門的な知識が必要なので、どうすれば節税できるかが分からない人にとっては、節税はズルいことのように思えてしまうのかもしれませんね。
「節税はズルい」と思い込むことで脱税につながることも
最後に注意しておきたいのが、「節税はズルい」という考え方に囚われると、脱税に走ってしまうかもしれない、ということです。節税に比べて、書類をごまかしたりして脱税をするのは簡単です。だから、「節税は面倒くさいから、少ない数字に書き換えて確定申告をしておこう」といって脱税が始まってしまうのです。
ここから、あらためて詳しくお話をしていきますが、脱税はペナルティが重く、とてもリスクが高いです。そんな脱税に走らないように、税金の基本ルールを正しく理解していきましょう。
節税は合法的に税負担を減らすこと
あらためて、節税について解説します。さきほど説明したとおり、節税というのは法律で認められた方法で、税負担を抑える方法です。
確定申告での控除申告は任意
フリーランスの税金は毎年の確定申告で決まりますが、申告する内容には、いくつかの選択肢が設けられています。たとえば、年間10万円を超えるような医療費を支払った場合には医療費控除を使うことができますが、医療費控除を申告するかは任意です。もし医療費の集計をするのは面倒ということであれば、医療費控除を申告しないという選択もありです。
フリーランスの節税の基本「青色申告」
フリーランスの方にとくに関係するのは「青色申告」というしくみですね。青色申告を選択する届け出を出して、一定のルールで帳簿を作成したり、確定申告書に追加書類をつけたり、といった条件を満たせば、色々な節税方法を使えるようになります。
たとえば、最大で年間65万円を所得から差し引ける青色申告特別控除とか、家族に支払う給料を全額必要経費にできる青色事業専従者給与とか、そういった節税方法が設けられています。
節税制度は任意。税務署からの案内はない
このように、任意で利用できる節税方法を活用することは、フリーランスにとってはとても大切だと思います。毎年数十万円単位の税負担が変わってきますので、それが積み重なるとかなりの金額になりますよね。
ちなみに、利用できる節税方法を使っていなかったとしても、税務署から「あなたはこういう制度を使えますよ」といった案内がなされることは基本ありません。あくまでも任意で利用するものなので、自己判断ということですね。
そういえば今思い出しましたが、税務職員になると、最初の3ヶ月くらいを税務大学校という研修所で過ごします。ここで僕は同期750人と一緒に税法の勉強をしていたのですが、かなり最初の段階で「節税は悪いことではない」ということを教わりました。このときに比較対象として出されたのが、次に説明する「脱税」という言葉です。
脱税は「ごまかし」によって違法に税負担を減らすこと
では次に脱税ですね。こちらは、専門的な言葉を使うと、「税金の計算基礎となる事実を仮想隠蔽して、その仮想隠蔽したことに基づいて、申告書を提出した場合」が該当します。
簡単に言えば、売上などの情報をごまかして、そのごまかした数字で確定申告をしたようなケースですね。こちらは当然ながら違法行為で、ペナルティも厳しくなります。法律上は仮想隠蔽という言葉を使うのですが、分かりにくいので本記事では「ごまかし行為」と言います。
脱税が発覚したときのペナルティ
税金に関するペナルティはいくつかあるのですが、脱税行為が明らかになった場合は「重加算税」という追徴税が課されます。重加算税の税率は、基本的には本来の税額の35%か40%になります。ごまかし行為に基づき確定申告をしていたら35%、ごまかし行為があった上に、確定申告さえしていなかったら40%という感じです。
脱税や無申告の繰り返しに対する罰則が厳しくなった
さらに、加算税の法律が改正されて、重加算税を課された過去5年以内に無申告や重加算税を課されていた場合は、重加算税の税率は45%または50%に跳ね上がります。短期間に脱税行為や無申告を繰り返した人に対する罰則は、さらに厳しくなるということですね。
期限内に納税しないと延滞税も発生する
重加算税のペナルティは厳しいです。税率35%としたら、本来の税額が100万円なら、135万円に増えるという計算ですからね。しかも、重加算税のほかに、税金を期限内に納めなかったことに対して延滞税というものもかかります。
重加算税の履歴は税務署のブラックリストに残る
さらに僕が個人的に怖いと思っているのは、重加算税を課されたという履歴はずっと残るということです。税務署は当然ながら過去の税務調査の履歴などを残しているので、重加算税を課された人は、「そういうことをする人なのだ」と見られてしまいます。税務調査に入られる可能性は高くなり、税務職員の追求も厳しくなることが予想されます。正直、脱税してもいいことなんて何もないと僕は思いますね。
租税回避は法律の抜け穴をついた方法
次に説明するのが「租税回避」ですが、これは僕のような一般的なフリーランスには縁のない話なので、さらっと説明しておきます。
冒頭でお話したとおり、「法律が想定していない方法」で取引などをして、税負担を抑えるという方法です。あくまで合法ですが、法律の網目をくぐり抜けるような方法を意味します。
僕が税務職員の研修を受けていたときは、租税回避の扱いは明確になっていませんでした。教授によって少し見解も分かれていたような気がします。現時点では租税回避は違法ではないということになっているので、税務当局も否認はできません。もし今後判断が変わった場合には、後から法律を改正するなどして、対応するのが基本的な流れになっています。
租税回避をするのは主に大企業
租税回避を行うのは、主に大企業です。法律や言語の問題も絡むので、税理士だけでなく、国際弁護士などの専門家も関わっていますね。たとえば海外に子会社を作ったり、特殊な有価証券を発行したりして、税負担を抑えています。
このような租税回避は、一般的な自営業者が行うのは難しく、また効果的でもありません。何十億もの税金を払っている大企業なら、コストをかけて租税回避をする合理性がありますが、自営業者、フリーランスが頑張って租税回避をしても、節約できる税金はたかが知れていますから。
サラリーマンも節税のメリットを受けている
少し話がズレますが、サラリーマンの方から「フリーランスは節税できてズルい」ということを言われることもあります。ですが、これも少し違っているかなと思っています。
サラリーマンが使える節税制度
たしかに、サラリーマンの方にできる節税方法はフリーランスほど多くはありません。住宅ローン減税や医療費控除、ふるさと納税、NISA、iDeCoなどの節税方法は使えますが、青色申告関係や小規模企業共済など、サラリーマンの方は使えない節税方法もありますので。
会社の節税がサラリーマンのメリットにもなっている
それでも、サラリーマンの方も確実に節税のメリットは享受しているはずなのです。なぜなら、サラリーマンの方が勤めている会社は、ほぼ確実に節税を意識しているから。会社を続けていくうえで節税はかなり重要な要素で、だからこそほとんどの会社は税理士に委任しているはずです。そこで得た節税のメリットは、サラリーマンの方の雇用維持や給料に影響していますよね。
フリーランスにはできない節税
あとは、サラリーマンの方は、「給与所得控除」というものが自動的に差し引かれて税金が計算されています。これはフリーランスにはない節税です。フリーランスの場合は、実際に支払った必要経費を差し引きますが、サラリーマンの場合は実際に必要経費を支払ってはいなくても、ある一定の額が所得から給与所得控除として差し引かれています。これによって、フリーランスよりも節税できている会社員の方もいらっしゃると思います。
知らないから「節税はズルい」と思ってしまう
今回お伝えしたように、節税は別にズルいことではありません。法律が認めている方法で税負担を減らしているだけですから。一方、脱税は明らかにズルいと思います。みんなが法律というルールに則って仕事をしているのに、それを無視して税金を減らしているわけですから、僕はズルいと思っています。
それでも、やはり節税に対して「ズルい」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。それは、節税は難しくて、よく分からないと思われているからではないでしょうか。
知らないことにたいしてズルいと思うのは、普通のことだと思います。僕自身も、たとえば仮想通貨 で何億円稼いだとかいう話を聞くと、一瞬「ズルいな」と思うことはあります。でもよく考えてみると、そういった勝利を得るまでのプロセスは何も知らないのです。もしかすると仮想通貨で稼ぐために相当な苦労やリスクを背負っていたかもしれないわけで、何も知らない僕が「ズルい」と言えることではないと思います。
節税はコスパの悪くない「稼ぎ方」
投資にせよ節税にせよ、リターンを得るには一定の行動やリスクが必要になります。それが見合ったものと思うなら、やればいいし、そうでなければ、やらなければいいだけですよね。節税も、まずは少し知ってみて、そこから取り入れるかどうかを判断していただければいいと思います。そして僕が思っているのは、フリーランスにとって節税は、コスパの悪くない稼ぎ方だと思います。長くフリーランスを続けるうえでも、節税の知識は結構役立ちますね。
ということで、今回は節税を取り上げてお話をしました。このブログでは主にフリーランスの方に役立つお金や税金、仕事などの情報をお伝えしています。節税の具体的な方法もいずれ解説したいと思っていますので、よろしければ「本ブログの更新通知を受け取る」に登録いただけると嬉しいです。