こんにちは、よしこばです。
節税のために欠かせないものが、「必要経費の証拠書類」です。今日はこれをテーマにお話したいと思います。
基本ルールは、原本を7年間保存
個人事業主になると、毎年確定申告をします。このとき、収入や必要経費を記載した決算書を添付することになります。
この時点では、必要経費を証明する領収書などを提出する必要はありません。ただ、税務署から何かしらの疑問をもたれた場合、確認を求められることになります。
そのときに提示すべきものが、「証拠書類」です。代表的なものは、レシートや領収書です。
これらの証拠書類は、原則として7年間は原本を保存することが義務付けられています。税務署から確認を求められたときに証拠書類を提示できないと、最悪のケースでは必要経費が認められず、追徴税がかかる可能性があります。
こうした税務処分に不服がある場合は、不服審判所に「審査請求」という手続きをすることになりますが、ここで処分の適法性を判断するときも、やはり証拠書類が求められます。
僕は職員をやめる前の3年間は東京不服審判所に勤めていましたが、このあたりの判断はシビアでしたね……。
領収書は必須? レシートで十分です
ときどき、「税務署に認めてもらうには領収書でなければならない」と考えている人がいます。が、これは誤りです。
レシートをもらっているのに、わざわざ領収書をもらう必要はありません。要は、必要経費の条件に合致していることを示す書類であれば、何でもいいのです。
最低限必要な情報は次のとおりです。
- 日付
- 支払先
- 支払内容
これらの情報はレシートにも通常記載されています。ですから、わざわざ同じような情報を領収書にしてもらう必要はありません。
税務職員の目から見ると、レシートではなくすべて領収書にしているほうが不自然です。レシートに比べると、領収書の偽造のほうが簡単ということもあり、あらぬ疑いがかかる可能性はゼロではありません。
足りない情報は、メモを残しておく
ただし、レシートに記載されている情報でも完璧というわけではありません。必要経費のルールを条文から見てみましょう。
(1) 総収入金額に対応する売上原価その他その総収入金額を得るために直接要した費用の額
(2) その年に生じた販売費、一般管理費その他業務上の費用の額
「総収入金額に対応する」「総収入金額を得るために」「業務上の費用」という言葉があるのが分かりますね。
要は、「事業のために使った費用なのか?」という点が問われるわけです。これはレシートだけでは分からない場合が少なくありません。
たとえば商品の仕入れなどであれば、「事業のため」と言いやすいと思います。ただ、取引先と食事をともにしたときのレシートはどうでしょうか? ここには「○月○日に、○○というお店で、○○円を支払った」という情報しかありません。取引先と一緒に食事をしたという事実を証明することはできないですよね。
こういうときは、メモを残しておきましょう。レシートに直接書いてもいいですし、別途会計システムやExcelファイルにまとめておいてもいいでしょう。これも十分、証拠になります。
時間が経つと忘れてしまうので、このような証拠書類の整理やメモは都度やっておいたほうがいいと思います。
レシートも領収書もなければどうする?
もし、レシートや領収書をもらいそこねたら、「出金伝票」というものを作ってください。Amazonでも売られているので、こういうものに手書きで作るか、お使いの会計ソフトによっては作成できるはずです。
ここに書くべき情報は次の4点です。
- 支払った日付
- 支払った金額
- 支払先
- 内容(品名など)
ちなみに、クレジットカードの明細も証拠書類にはなりますが、情報としては不足しています。支払先や日付、金額は分かりますが、その内容が示されないからです。こういうときも出金伝票を作っておくといいでしょう。