皆さんの周りに、副業をしている人はいますか? 副業解禁の話題が増えてきた昨今ですが、なかなか行動に移せない人が多いのではないでしょうか。
今回は、僕が副業を勧める理由について、いくつかのデータを示しながら説明します。少し前に、老後2,000万円問題が話題になったように、僕たちの世代の老後は安心できるものではありません。
今回は、サラリーマンを取り巻く環境変化をひもときつつ、「副業の提案」をしたいと思います。
こちらの内容はYouTube動画でも解説していますので、よろしければあわせてご覧ください。
副業の現状
本記事では、本業をもちながら別の仕事をすることを「副業」とします。週末だけアルバイトをする、サイドビジネスをする、といったイメージですね。まずは、副業がいかに広がってきているのかを見てみましょう。
実施している人も希望している人も増えている
2018年の厚生労働省の統計によると、副業を希望している人も実際に行っている人も増えています。
このグラフが右肩上がりになっている理由はいくつかあると思います。
働き方改革によって残業規制が強化されていますから、かつてのように残業代をもらうことはできません。本業だけでは生活が厳しくなり、これを補うために週末などに副業をしている人が増えているようです。僕も、SNSなどを通じて副業でライターをやりたいという相談が増えてきました。
企業は副業に消極的
一方企業側を見てみると、大企業でも一部副業を解禁したところはありますが、全体としてはまだ消極的です。
2018年の労働政策研究・研修機構による調査では、副業や兼業を許可している企業の割合は11.2%、許可を検討していると答えたのは8.4%でした。副業に前向きな企業は、これらを合わせた2割くらいしかないのです。
3年前のデータですから状況が変わってきているかもしれませんが、この先も副業を認める企業の割合は増えていくと予想しています。トヨタの豊田社長が、「終身雇用を守っていくのは難しい局面に入ってきた」と発言したように、もう会社は社員の一生を守れなくなる時代が来つつあるのでしょう。
副業を勧める理由(1) 給料が減っている
ではここからは、僕が副業を勧める理由について詳しく説明していきます。
厚生労働省の統計調査を見ると、1989年の平均給与は452万円でした。まだバブルの頃ですね。
その後2014年を底に少し盛り返しています。それでも2018年は433万円で、1989年と比べると20万円くらい下回っています。
ちなみに僕が東京国税局に採用された2004年は、ちょうど給料が大幅に下がり始めた時期でした。
バブルの頃は、公務員でも民間企業の給料水準の上昇にともなってボーナスのようなものが支給されていたそうです。僕はそのような景気のいい経験はできませんでした。
副業を勧める理由(2)退職金も減っている
ふたつ目の理由は、給料だけでなく退職金も減っていることです。
民間企業で定年まで勤めた人の平均退職金額を見てみると、平成15年には2,499万円だったのが平成30年には1,788万円になっています。約700万円も下がりました。
なかでも平成20年から25年にかけて、大きく400万円ほど下がっています。
僕もこの頃のことをよく覚えています。先ほどお伝えしたように、公務員の給料は民間企業と連動しています。民間の退職金がこれだけ減ったので、公務員も減らされました。
職員用の掲示板にその通知が出ていたのですが、それ見た上司は不満そうでした。当然ですよね。定年をむかえるのが1年違うだけで、退職金が300万円も減るわけですから。
定年を待たずに、制度改正前に自ら退職する方もいました。ただ、定年退職ではなく自己都合退職になるので、いずれにしても期待していた退職金より額が減ってしまいました。
副業を勧める理由(3)老後に必要な資金が増えている
少し話がそれましたね。副業をした方がいい理由に戻ります。
3つ目の理由は、寿命が延びていることと少子高齢化によって、老後に必要な資金が増えていることです。
国税庁の資料によると1975年の平均寿命は男性が71歳、女性が76歳でした。それが2065年にはそれぞれ85歳と91歳になるという見込みですから、15年くらい延びています。
1975年当時は、15歳から64歳の現役世代人口7,581万人に対して、65歳以上の人口は887万人でした。
一方2065年には、現役世代が4,529万人で高齢者世代は3,381万人と、両者がかなり近づいています。このグラフを見ると、現役世代が高齢者を支えるという構図に無理が出てくるのは明らかですよね。
老後は2,000万円どころではない不足が
そんななか報道されたのが、老後に2,000万円が必要という問題です。
この根拠となったのは2017年の厚生労働省のデータでした。
高齢夫婦無職世帯の収支を見たら、月5.5万円くらいの赤字があることを見て取れます。この5.5万円×12か月×30年で約2,000万円が足りないという計算がされたのです。
実はここで気になるのが、住居費が13,656円しかないという点です。これは1年間の固定資産税くらいの金額です。つまりこの計算は、持ち家でローンは払い終わり、修繕の必要もない状況で老後を過ごせる前提で行われていると言えます。
住居費が月額10万円かかるなら、さらに3,000万円必要
しかしずっと賃貸で生活していくケースもあるでしょう。
家賃が1万3,000円でおさまることは少ないでしょうから、月々の赤字額は5万5,000万円におさまりません。場所にもよりますが、たとえば都内であれば家賃が10万円くらいかかることも多くあります。
厚生労働省のデータでは30年間の住居費は約500万円です。一方、もし家賃が月10万円だとしたら3,100万円になります。そうすると老後に必要なのは2,000万円どころか5,000万円になります。
この金額を補うためには支出を減らすだけではなく、なんらか資産を増やすための手段を取る必要があるでしょう。
そのときに副業がひとつの可能性になると思います。
本業ほどの収入は見込めないとしても、副業で得たお金を投資にまわせば、複利効果でかなり老後の生活は豊かになるはずです。
また起業で一攫千金を目指す場合でも、副業からはじめるのが無難です。いきなり事業を立ち上げるのはハードルが高いですよね。今の会社でお給料をもらいながら、起業準備として副業で経験を積むとよいのではないでしょうか。
副業を勧める理由(4)仕事がなくなるかもしれない
最後の理由は、今の本業がいつまで続くかわからないという問題です。
AIに仕事を奪われる時代がくると言われるようになりました。時代の変化によって今の仕事がなくなるのは、誰もが考えておかなくてはいけません。実際、以前であれば倒産なんて考えられなかった大企業が倒産したり、合併されたりする事態も起こっています。40代にして早期退職を求める企業も出てきましたね。
たとえ会社が継続したとしても、そこで必要とされる能力を自分が持ち続けられるかもわかりません。目の前の仕事をしているだけでは、リスクが高すぎるんですよね…。自分という人的資本をひとつの会社に賭けることは、投資という側面からも合理的ではありません。
僕自身、本業はライターなのですが、タダ同然の値段でレベルの高いライティングをするAIが出てきたら、仕事がなくなってしまうかもしれません。
今、このようにブログを書いたり、You Tube動画を配信したりしているのは、ある意味では副業です。自分の興味があるところからやってみて、将来につながればいいと考えています。最近は一般社団法人かぶきライフサポートの理事になりましたが、これも可能性を広げるためです。
もちろん、副業をしたからといって急に収入が大きく増えるわけではありませんが、地道にやっていくしかありませんよね。
不確実な将来に備えて、本業以外で稼ぐ
ここまで、僕が副業を勧める理由について解説してきました。
しかし、副業禁止の会社もいまだ多く、必ずしもすぐにスタートできるわけではないでしょう。その場合は、将来の解禁にむけてボランティアで経験を積むことも一案です。また株式など資産運用の勉強をして実践してみるのもよいかもしれません。
僕は1981年生まれなので、仮に60歳まで働くとしたらあと20年あります。老後までの時間はみなさんそれぞれですが、この時間をうまく使って安心して生活できるようにしたいですよね。僕もそのためのやり方を模索したいと思います
将来のことは誰にもわかりません。だから何が起きてもいいように、今の仕事以外にもいろいろ学んでいこうとしています。今後もみなさんのお役に立つと思うことがあれば、このブログでも随時お伝えしていきますので、引き続きお読みいただけたらと思います。
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副業をしていることが会社にバレたくないという人向けの記事です。
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