こんにちは、よしこばです。
いつもは節税の方法などを解説しているのですが、今日は少し見方を変えたお話です。
先日、自宅の買い替えをしようとしていることを記事にしました。マンションから戸建てに。結果として、売買契約まで進み、あとは引き渡しを待っている状態です。
ここまでの一連の経緯のなかで、「節税にはリスクがある」ということを感じましたので、そのことを説明したいと思います。
ローンの仮審査さえ受けられない、という現実
公務員からフリーランスになるとき、ある程度は覚悟していました。それまで当然のようにあった社会的な信用がなくなること。それによりローンやクレジットの審査が厳しくなることを。
だから、有利な条件のクレジットカードは退職前に申し込みましたし、自宅も買ったうえで独立をしました。
ところが、前に記事にしたように、家族が増えたことや、自宅でオンライン取材などが増えてきたことで、より広い自宅が必要となり、買い替えに動くことにしました。
ありがたいことに、今の自宅の近くに手頃な戸建てが売りに出ていたので、不動産会社に連絡をして内覧をしたのですが、その後に買い替えの相談をしたとき、自分が厳しい状況にあることを痛感しました。
個人事業主や会社経営者は、ローン審査に不利というのは事実でした。僕の今の仕事を不動産会社の方に伝えると、顔が曇るのが分かります。「正直、厳しいですね…」という反応でした。
ローン審査においては、
公務員・大手企業勤務>中小企業勤務>非正規雇用>個人事業主>会社経営者
という図式のようで……僕はもっとも審査が厳しくなる会社経営者なので、不動産屋さんが頭を抱えるのは無理もありません。
「まずはローン審査を受けてもらえるところを探します」ということで不動産屋さんと別れたのですが、その日のうちに「銀行ではどこも審査をしてくれません」との回答が来ました。
これは、僕が経営者であることに加え、他の理由も影響しています。そのことを次に説明します。
節税していたことが裏目に
ここで説明しておきたいのですが、「個人事業主や会社経営者は皆、ローン審査さえしてもらえない」というわけではないということです。
僕の場合、会社経営者であることに加えて、節税をしていたことが、結果として裏目に出ました。というのも、ローン審査は所得金額を基準に行われるので、所得金額を抑えるような節税方法を使っていると、審査に悪影響が及んでしまうからです。
個人事業主の頃は、僕は青色申告特別控除や青色事業専従者給与、少額減価償却資産の特例などを使って、所得を低く抑えていました。
さらに会社を立ち上げてからは、自分に支払う役員報酬を低く設定することで、社会保険料や所得税・住民税を節約していました。
いずれも、節税方法としてはごく一般的なものなのですが、見た目の所得金額が少なくなるので、結果としてローン審査が厳しくなってしまいました。
買い替えの場合、2重ローンとして考えられる
しかも、僕が今回やろうとしているのは「買い替え」です。まだローンの残っている自宅を売って、新居を買うわけです。とはいえ自宅はすぐに売れるものではないので、一定期間は2重ローン状態になります。
そうすると、銀行の住宅ローンにおいては、「今の物件のローン」に「新たな物件のローン」を合算したうえで審査が行われます。
住宅ローンの審査は、「返済割合」というものが基準です。年間の所得に対し、返済額がどれくらいの割合になるのか。一般的に、返済割合を30%程度以内に収めなければ、ローンの審査に通りません。
僕の場合、個人の所得を低くしているうえ、買い替えなので、結果として返済割合が30%に収まらず、銀行のローン審査を受けられなかった、というわけですね。
ちなみに、返済割合には、住宅ローンのほか、車のローンやキャッシングなどの返済額も含めて計算されます。住宅ローンの審査を受けるときは、車などのローンも片付けておいたほうが安心ということです。
それでも、住宅ローンを使えた理由
ということで銀行は全滅したのですが、唯一、フラット35だけはローン審査を受けることができました。フラット35というのは、住宅支援機構が手掛けているローンで、半官半民のようなやや特殊なローンです。
特徴としては、35年間の金利が固定されていることや、保証料がいらないことなど、利用者のメリットも多く、実は僕も使いたいと思っていたローンでした。
このフラット35だけが、会社経営者である僕のローン審査を受けてくれたのです。その理由は、フラット35の場合、「今の自宅を売って完済する見込みがある」という条件で、新居のローン額だけで、ローン審査をしてくれたからです。
言い換えると、銀行では新旧のダブルローンで審査をするところ、フラット35では新居のローンだけで審査してくれるということです。こうなると、かなりハードルは下がります。僕の所得でも、返済率30%の条件をクリアすることができました。
さらに、僕は他にローンがないことや、過去にクレジットカードなどの滞納をしたことがないことなど、目立った問題がなかったことも良かったようです。
これはどう影響したのか分かりませんが、不動産屋さんには、今自著が売れていること、その印税収入が近く入ってくることなども伝えていました。
「ローンが組めないフリーランス」にならないように
ということで、無事にフラット35の審査を通過し、売買契約に至ることができました。かなりヒヤヒヤでした……。
今回の経験で学んだのは、フリーランスがローンに不利ということを確かめられたこと、これを避けるにはきちんと所得金額を確保しておくべきこと、です。
もし住宅ローンなどを組む予定があるのなら、節税を少し抑えたほうがいい場面もあるかもしれません。買おうとしている物件の価格と、現状の所得金額を比べて、どれくらいの所得金額を目指すのかを考えることをオススメします。
もっとも、できるなら独立する前に住宅ローンは組んでおいたほうがいいでしょうね…。僕のように突然決めるのではなく、フリーランスになった後のことを考えたほうがいいと思います。自宅で仕事をするなら広いスペースが必要になりますし、仕事によっては都心からのアクセスも重要です。
あとは、キャッシングやクレジットカードを利用されている方は、きちんと期日どおりにお金を返すことが極めて重要です。滞納したり、踏み倒したりすると、信用情報機関に情報が残ってしまい、ローン審査で不利になってしまうからです。
総じて言えるのは、お金を貸す銀行などの立場に立ってみれば、やるべきことが分かってくると思います。所得金額を高くすること、安定的な収入があること、借金を抱えていないこと、病気がないことなど、複数の要素が絡んできますので。
フリーランスは会社員や公務員と比べて、信用が劣るわけですから、とくに注意しておきたい点ですね。