こんにちは、よしこばです。
5月1日は国民年金の保険料引落し日で、夫婦合わせて78万円(前払2年分)を一気に失ってしまいました……。と思ったところで、「いやいや、これは失ったのではなく老後資金じゃないか」と気を取り直したところです。
ということで、今回はフリーランスと老後をテーマに書いてみたいと思います。
「フリーランスは老後が心配」といった声は一般的なようで、実際、このような本も出ています。ただ、「それって本当なのかな」と疑問があるんですよね。そのあたりのことも記事で触れたいと思います。
税務調査で感じた、「なぜサラリーマンは資産家になれないのか?」
僕は税務職員の頃、相続税の調査担当だったことがあり、いわゆる資産家のお宅を訪ねる機会がよくありました。
当時の相続税には大きな控除があったため国民の5%未満にしか課せられず、しかも税務調査の対象になるのは、ごく一部ですから、限られた資産家と言って良いでしょう。
そんな資産家の方々がどういう属性だったかを振り返ると、以下の2パターンしかありませんでした。
- 自分で事業を起こした人(フリーランスも含む)
- 昔から続く地主の家系
気になっていたのは、「サラリーマンの収入だけで資産家になった人がいない」という事実。これが不思議だったんです。というのも、収入だけを見ると、サラリーマンの方が明らかに多いですからね。もちろん、実際にはサラリーマンで1代で財を成した人もいるのでしょうが、少なくとも僕が税務職員だった頃の経験からは、上記の2パターンだけでした。
地主は別としても、なぜ収入がそれほどでもないフリーランスが多くの財産を残せるのか?
その答えは、おそらく制度の違いにあります。
「個人」と「法人」を使い分けられるという圧倒的優位性
まず一番大きいポイントはここでしょうね
フリーランスもある程度収入が増えた方は法人化するケースが多いと思います。それはなぜかというと、税制上有利な点が多いから。
個人には所得税がかかり、法人には法人税がかかる。そしてそれぞれの計算の仕組みは異なります。ですから、状況に応じて個人の所得と法人の所得の分配をコントロールすれば、節税することができるのです。しかも、健康保険や年金なども所得に連動しているので、こちらもある程度コントロールすることはできます。
これ、副業禁止のサラリーマンではできないことです。もし副業のためこっそり法人を作ったとしても、収入の大半が会社からの給与所得だと、あまり意味はありません。
橘玲さんの「お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方」がロングセラーになっていますが、この本で書かれていることは、おおむねそういうことです。
さらに、老後資金を残すための制度という面でも、実はフリーランスは恵まれています。次から少し説明しますね。
国民年金だけでは足りない?だったら増やせばいい
<国民年金基金のホームページより引用>
上記の図のなかで、左側がフリーランス、右側が会社員です。
会社員の場合、国民年金、老齢厚生年金は必須加入。会社によってはさらに厚生年金基金に加入している場合もありますが、いずれにせよ会社のルールにしたがうことになります。
一方、フリーランスの場合国民年金だけが必須加入です。ということは、放っておけばサラリーマンよりも将来の年金額は少なくなってしまいます。
ところが、任意加入の「国民年金基金」に掛金を支払うことで、将来の年金額を増やすことができます。掛金は自分で設定できるので、多く払えばサラリーマン並の年金を受け取ることもできないことはありません。
さらに、国民年金には「付加保険」という非常に有利な制度があります。
ざっと仕組みを説明すると、
【支払時】毎月の年金保険料を400円多めに支払う
【受取時】(200円×付加保険料を納めた月数)を毎月受け取る
つまり、僕が付加保険を30年払って、将来の年金を20年受け取ったとすると、
支払額は30年×12ヶ月×400円=144,000円
受取額は(200円×30年×12ヶ月)×20年=1,440,000円
分かりますかね。元金が10倍になっています。
リスクなくこれだけ資金を増やせる投資って他にはないのではないかと思いますね。
もちろんこれは試算で、十分にメリットを享受するためには、できるだけ早めに付加保険料を納めて、できるだけ長生きしなくてはならないのですが、少なくとも年金受取開始から2年以上長生きすれば元は取れます。
老後資金対策の本命は小規模企業共済
フリーランスが使える老後資金対策はこれだけではありません。
さきほど説明した国民年金基金もありますし、iDeCoもサラリーマンよりも有利ですし、民間の個人年金も選択肢のひとつです。
ただ、すべて利用するわけには行かないんですよね。今目の前にある生活がありますから。なので、実は僕自身も、国民年金の付加保険は加入しているものの、国民年金基金には未加入です。
老後資金対策のネックは、やはり「老後になるまで資金を使えない」点なんですよね。
そこで、そうしたデメリットを解決する老後資金対策として有効だと考えるのが、「小規模企業共済」です。
小規模企業共済は積み立てた金額を限度として、低利で貸付を受けられるという、ほかの老後資金対策にはないメリットがあります。
つまり、いざ資金が足りなくなれば、借りて当座をしのぐことができるということです。
しかも、積立額が全額所得控除になり、将来の受け取り時にも税制のメリットあるため、ただ貯金をしておくよりも節税効果があります。
ということで、よしこば的な優先順位は以下のとおりです。
- 国民年金の付加保険
- 小規模企業共済
- iDeCo
- 国民年金基金
ちなみによしこばが利用しているのは、1と2です。自分は長く働くつもりなので、これくらいで十分かなという気もしますが、余裕があれば他も検討しようと思います。また、「自分は自ら投資して老後資金を稼ぐんだ!」という方はNISAを利用するという方法も有効でしょう。
ということで、こと老後資金対策においては、フリーランスって別に不利ではないんですよね。
そうすると、問題は絞られてきます。
それは、「売上をどう増やすか」ということ。
この点はまた後日のブログにて考えてみたいと思います。