今回は元公務員の視点で事業復活支援金のポイントを解説します。提出書類や登録確認機関の選び方を詳しくお伝えします。
こちらの内容はYouTube動画でも説明しています。よろしければあわせてご覧ください。
事業復活支援金の申請準備のポイント
事業復活支援金の申請前に行うべきことがあります。条件の確認と、提出書類の準備です。それぞれチェックしていきましょう。
求められる条件は2つ
まずは簡単に事業復活支援金の条件を確認しておきましょう。主に2つあります。
ひとつ目はコロナの影響を受けていること。もう一つは2021年11月から2022年3月までの売上高に関するものです。このいずれかの月の売上が、2018年11月から2021年3月までの同じ月と比べて、30%以上減少していることが条件になっています。
審査する役所の立場で提出書類を準備
中小企業庁のパンフレットを見ると、詳しい条件がいろいろ載っています。しかしそれを見ても、自分が条件に合致しているかがよくわからないこともあります。なぜなら、情報が膨大で専門用語が多いからです。
この時にやってみるとよいのは、審査をする役所の立場になって考えてみることです。
僕は元々国税局や税務署に勤めていました。確定申告書やその他の申請書類を数多くチェックした経験があります。そこから言えるのは、役所では皆さんの状況が詳細にはわからないのです。
本当にコロナの影響を受けているのかとか、事業の状況がどうなのかとか。時間的にも一人ひとりに問い合わせて状況を調べるわけにはいきません。そこで、「提出書類を用意できない人をはじく」という意識が生まれます。
ですから、これから申請をする人は、次の2点を意識してみてください。
- 必要な提出書類を用意できるのか
- 提出書類の記載内容が給付要件に照らして問題ないか
事前確認に必要な書類 個人と法人の違い
事業復活支援金を申請するには、基本的に「事前確認」の手続きが必要です。このときの提出書類を見ていきましょう。
個人と法人で提出物が違う
以下のとおり、個人の方は5種類、法人はそれに1つ追加して6種類あります。法人の場合に必要な履歴事項全部証明書は、発行後3ヶ月以内のものが必要です。手元になければ法務局で取得しておきましょう。
- 本人確認書類
- 確定申告書類の控え
- 帳簿書類
- 通帳
- 宣誓・同意書
- (法人のみ)履歴事項全部証明書
目的別に提出書類を分類してみる
さきほど挙げた提出書類を、目的別に分けてみましょう。すると、2つの給付条件と本人確認を目的であることがわかります。
ひとつ目の条件は「コロナの影響を受けていること」。その確認のためには宣誓・同意書を出すことになっています。次に、「売上が減っていること」を示すために、確定申告書の控えなどを提出します。あとは、本人確認書類または履歴事項全部証明書で揃います。
コロナ影響を判断するために事前確認という手続きが必要
売上が減っているかどうかは数字で表れるので判断が簡単です。提出書類にある売上台帳・通帳・確定申告書の控えの3点セットで示すことができます。
一方、コロナの影響を受けているかどうかは証明しづらいですよね。「宣誓・同意書」を出すとはいえ、これだけでは審査する役所としても心もとないと思います。
そこで、事業復活支援金には「事前確認」という申請前のプロセスが設けられているのです。本申請の前に税理士などからチェックをしてもらい、不正を防止しようという意図が見えますね。
本申請の書類には2パターンある
事前確認の書類は以上ですが、本申請で必要な書類についても簡単に見ておきましょう。本申請のプロセスは、次の3パターンで分かれています。
- 過去に一次支援金または月次支援金を受給したことのある人
- 登録確認機関と継続支援関係がある人
- 登録確認機関と継続支援関係がない人
このうち、1と2の場合、事前確認と本申請の提出書類は重複しています。ひとつ違う点は、必要となる帳簿書類の期間です。事前確認の時は2018年11月から3年分でした。それが本申請では対象月の分だけで良いことになっています。
3の場合は、追加の書類が必要です。基準月の売上にかかる帳簿、請求書などの取引書類、通帳が必要になります。
このように比べてみると、事前確認の方が長い期間の取引をチェックされることが分かります。本申請に通る保証はないのですが、事前審査をクリアすれば、本申請も通常は問題ないと思われます。
登録確認機関の探し方
事前確認に際して、書類の他にもう一つ重要なことがあります。それは登録確認機関を探すことです。すでにお付き合いの税理士などがいなければ、いちから探さなくてはいけません。
登録確認機関の検索で気をつけたいのは、事前確認の受付対象です。「会員等限定」のチェックボックスを外してください。こうすることで、商工会の会員などでなくても、事前確認を受けられるところが表示されます。
テレビ会議を希望する場合も、絞り込みで探せます。今はコロナが気になりますから、Zoomなどで事前確認ができると便利ですよね。
こうして検索をすると対象機関の連絡先やホームページのリストがでてきます。その中から連絡を取って事前確認を依頼しましょう。
事前確認は費用がかかることも
事前確認は有料で行われているケースがあります。このコストについて考えてみたいと思います。
有料の場合は1万円ほど
さきほど紹介したサイトでは、登録機関の費用の有無や金額がわかりません。調べるには問い合わせる必要があります。
登録確認機関はおよそ5万件あります。無料でサービスを実施しているのはそのうちの半数、約2万5千件です。銀行とか商工会は無料で実施していることが多いようです。一方で税理士など士業の方は有料が多いかなと思います。
国は無料で事前確認を行う機関に対して2,000円を支払っています。ただ、3年分の帳簿などを確認して、事前確認を行うのは手間です。そのため、2000円を国からもらわない代わりに、利用者から料金を取っている登録確認期間が存在します。
僕が調べたところ、有料の登録確認機関は、相場として大体1万円ぐらいに設定していました。
事前確認は無料でも、別途会費の支払いを求められることも
事前確認を受ける側としては無料の方がありがたいですよね。半分くらいが無料なら見つかりそうな気もします。しかしここにも注意点があります。無料のところでも、年会費などの名目で支払いを求められる可能性があるのです。
たとえばある商工会は、事前確認は非会員でも無料としつつ、会員になることを条件にしていました。会員になれば、年会費として1万円以上を払わなければいけません。そう考えると、完全に無料というわけではないですよね。
手間のコストと費用のコストを考える
お金はかけたくないけれど、探す手間というコストもかけたくはありませんよね。完全に無料の機関を探すのに、何十時間もかかってしまったというのは避けたいです。
だから事前確認だけを考えなら、有料の機関にお願いするのがよいかなと思います。会員になることが必要なところだと、来年以降も会費を払わなければいけませんよね。
次回の記事では、僕が実際に事前確認を受けた経験をお伝えしますが、2,200円で済みました。そちらの記事も参考にしていただければと思います。
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※本記事は執筆時点の情報に基づき掲載しています。制度のルールなどが変わる可能性がありますので、最新の情報をご確認ください。
[参考リンク]
・【事業復活支援金】事前確認は結構厳しい? 申請前の手順を解説