今回のテーマは事業復活支援金申請の事前確認です。飲食業を除くと、ほとんどの場合は本申請前の事前確認が必要になります。申請期限の5月31日までに終えられるように、必要な対応を進めていきましょう。
こちらの内容はYouTube動画でも説明していますので、よろしければあわせてご覧ください。
事業復活支援金の対象は業種・所在地を問わない
まず事業復活支援金についてポイントを確認しておきましょう。
業種や地域の条件はない
昨年行われていた月次支援金などは、緊急事態措置やまん延防止等重点措置が出ている地域限定でした。また、基本的には飲食業が対象でした。
ですが事業復活支援金は、業種や所在地が問われません。僕のようなフリーライターでも受け取れる可能性があるのです。フリーランスの人は、条件や手続きを確認しておきましょう。
給付要件、2つのポイント
給付対象のポイントは2つです。
まずは「コロナの影響を受けている」ということ。たとえば休業・時短営業やイベントの中止などに伴って販売機会が減少したことなどが該当します。詳しくは後ほど説明します。
2つ目は、「2021年11月から2022年3月のいずれかの月の売上高」に関する条件です。「2018年11月から2021年3月までの任意の同じ月」と比較して30%以上減少している必要があります。
たとえば2021年11月を基準にするなら、2018年、2019年、2020年のいずれかの11月の売上と比較します。
このように比較をした結果、減少幅が50%以上あると、30%以上50%未満の場合よりも給付額が多くなります。ここは数字で明確になっている条件なので、計算誤りのないようにしてください。
イベント取材記事が減ったのもコロナの影響
実は僕も事業復活支援金を申請しようと考えています。そこで、ライターの僕がどうコロナの影響を受けたのか、例として紹介します。
僕の会社の売上のうち、多くは企業から受ける案件です。主に広告目的で文章が必要な会社から依頼を受けています。たとえば、企業が製品発表会や展示会などを行うとき、僕は取材に行って記事課します。その記事は社内の広報誌やホームページで使われたりします。
ところが、2020年に入ってからコロナの影響で多くのイベントがなくなってしまいました。そのため当然ライターへの依頼も減っています。とくに広告代理店から受けていた仕事が激減しましたね……。これは、以下の図でいう「需要の減少による影響」に該当するものと考えています。
事業復活支援金の申請の際、基準月の1取引にかかる請求書などを提出する必要があります。僕の場合、当時やりとりをした請求書や通帳が残っているので、これらを提出する予定です。
申請手続きの流れに3パターンある
次は手続きの流れを見ていきましょう。申請フローの図を載せておきますが、パターンA、B、Cと3つあります。申請自体は2022年1月31日からスタートしていますが、その前におこなう手続きがあります。
月次支援金などの受給状況によって、事前確認の要否が決まる
申請パターンAは過去に一次支援金や月次支援金を受給したことのある人です。だから主に飲食業ですね。そういった人は、事前確認などのステップなしでいきなり申請できます。
一方、これらの支援金を過去にもらったことがない人は手続きが必要です。まずは申請IDの取得ですが、これは事業復活支援金のホームページから簡単にできます。
STEP 1でアカウントの申請・登録の「仮登録(申請ID発番)する」をクリックしてください。事業形態(法人or個人事業)、メールアドレス、電話番号を入れるだけでIDが発行されます。
事前確認レベルは継続支援関係の有無による
問題はこの先です。
先ほどの申請フローの図を見ていただくと、申請パターンBとCがありますね。これは「継続支援関係にあたる登録確認機関」の有無で分かれています。
この意味は次の項目で詳しく説明しますが、要は、継続確認関係があると事前確認は簡略化されます。逆に、ない場合は事前確認を行わなければいけません。
以前実施されたの持続化給付金の時は、こういう詳細な手続きはありませんでした。すぐに申請できて給付金を受け取れたと思います。しかし、不正受給の問題を受け、詳細な確認が行われることになりました。
継続支援関係による登録確認機関とは?
それでは、「継続支援関係」「登録確認機関」について具体的に説明をします。
登録確認機関は全国に約5万件
登録確認機関には、商工会、商工会議所、農協、漁協などの組合関係。あとは税理士、中小企業診断士といった士業が挙げられています。全国で約4万9,200件の登録があり、事業復活支援金のサイトから検索できます。リンクは本記事の最後に張っておきます。
継続支援関係には4タイプがある
では「登録確認機関と継続支援関係がある」とはどういうことか。これには4パターンあって、いずれかに該当することが必要です。
- 商工会議所などの会員・組合員で過去1年以上継続しているか、今後も含めて会員期間が1年以上ある
- 税理士など士業の顧問先になっていて、やはり過去1年以上継続しているか、今後1年以上継続する予定
- 信用金庫や地方銀行など地元の金融機関から事業性融資を受けている
- 登録確認機関の反復継続した支援先で、2019年から2021年の間に毎年1回以上の支援実績がある
残念ながら、僕は4つのどれにも当てはまりませんでした。地元の商工会や商工会議所と個人的な付き合いはありますが、加入はしていませんでした。
事業のために金融機関の融資を受けたことはあります。しかし日本政策金融公庫であり、登録確認機関ではありません。また登録確認機関から毎年の支援を受けた実績はないです。そして顧問税理などもいません。
というわけで僕は継続支援関係がないので、詳細な事前確認を受けることになります。
継続支援関係がないと提出書類が増える
この継続支援関係の有無によって、事前確認のレベルだけではなく申請に必要な書類の数も異なってきます。
継続支援関係がある人の書類は以下の5つです。過去に一次支援金とか月次支援を受け取った人と同様となっています。
- 履歴事項全部証明書(法人)または本人確認書類(個人)
- 確定申告書類の控え
- 対象月の売上台帳等
- 振込先の通帳
- 宣誓・同意書継続支援関係がない場合、上記に追加で3つ、合計8種類の書面が必要です。
- 基準月の売上に係る帳簿
- 基準月の売上に係る1取引分の請求書・領収書等
- 基準月の売上に係る通帳など
売上減少を示すための帳簿は必須
いずれのパターンでも、売上が減ったことを証明するために帳簿は必要です。会計ソフトを使えば帳簿作成はそれほど難しくありmせん。帳簿がないと申請自体ができませんので、ぜひ用意しておきましょう。
これらの書類は、実際には事前確認後の申請に必要になるものですが、事前確認でも確定申告書の控えなどの有無は確認されますので、先にすべて準備しておいた方がよいと思います。
事前確認の依頼先を探す際には、条件を確認する
事前確認を依頼する先は、継続支援関係がある場合はその登録確認機関です。ですが僕のように継続支援関係がない場合は、登録確認機関を探さなくてはいけません。
先ほど紹介した事業復活支援金のサイトで、登録確認機関の検索ができます。この中から自分で連絡して事前確認を依頼します。
ただ、面識のない税理士さんにいきなり電話をかけるのは気が引けますよね。とくにこの時期は、確定申告や会社の決算で非常に忙しいタイミングです。すぐに対応してもらえない可能性もありますよ。
機関によっては事前確認の対象を会員に限定していますし、事務手数料がかかる可能性もあります。問い合わせる前に条件をしっかり確認しておきましょう。
たとえば商工会や商工会議所の多くは、無料で会員以外でも事前確認も受け付けています。ただ、入会が条件になっているようです。入会すると年会費として1万円以上は払わなければいけません。
日頃から公的支援機関との繋がりを持った方がよいかも
今回は事業復活支援金の申請フローとして、事前確認を受けるまでを中心に解説しました。
今回条件を見ていて感じたのは、フリーランスでも公的支援機関との繋がりを持っておいた方がいいという点です。
税理士さんに顧問契約をお願いするとそれなりの費用は掛かります。ただ商工会議所や商工会の会費であれば負担はさほど大きくありません。また信用金庫から事業融資を受けるという形でもいいかもしれません。
この先の手続き、事前確認以降についてはまた僕自身が経験したところで記事にまとめますので、今後もチェックしてください。
このブログでは、主にフリーランスの方に向けて、仕事関係やお金関係、税金だけでなく、社会保険や老後資金なども幅広く情報を発信しています。
※本記事は執筆時点の情報に基づき掲載しています。制度のルールなどが変わる可能性がありますので、最新の情報をご確認ください。
[参考リンク]
・事業復活支援金の詳細について(中小企業庁パンフレット)
・事業復活支援金 登録確認機関一覧検索ページ(中小企業庁ホームページ)