クラウド会計ソフトのfreeeが、楽天銀行との同期機能(自動連携)を終了します。会計ソフトを変えるか、銀行を変えるか、それともそのまま使い続けるべきか。僕が検討した結果をお伝えします。
こちらの内容はYouTube動画でも説明しています。よろしければあわせてご覧ください。
freee会計と楽天銀行の同期が2022年2月24日に終了
freee会計と楽天銀行の同期機能が使えなくなります。詳しい情報と、その影響をまずは見ていきましょう。
freeeからの通知文書
1月下旬に僕のもとにfreeeから一通のメールが届きました。
この度2022年2月24日(木)17:00頃、「楽天銀行口座の同期機能」の提供を終了しますことをお知らせいたします。
楽天銀行とは2020年3月から同期を開始しておりましたが、契約終了に至りました。
同期機能は経理業務の効率化に不可欠
僕は会社を設立時から楽天銀行を使っています。その理由の一つがこの同期機能でした。手数料の安さもあって、これまで記事などでも楽天銀行とfreee会計をお勧めしてきました。
では、どうしてこの機能が重要なのでしょうか。
帳簿を作るには会計ソフトに取引の入力をしますよね。従来型の会計ソフトでは、通帳を見て手入力をしたり、銀行のデータを取り込んだりする作業が必要でした。
しかし、freee会計やマネーフォワード、弥生といったクラウド会計の場合は違います。銀行口座やクレジットカードの情報を自動で取り込めるのです。つまり、入力作業が不要になり、効率的に経理業務や確定申告が進められるのです。
「楽天銀行とfreee会計」の組み合わせで安心をして、使用してきたわけです。でも、それもあと数日で終わります……。このまま使い続けるか、銀行か会計ソフトを変えるか、考えなければなりません。
他の会計ソフトに変えるのは相当面倒
まずは別の会計ソフトに変えることも考えましたが、最終的にはそれは難しいと思いました。
僕はfreee会計だけではなく、freee人事労務というソフトも利用しています。自分の役員報酬や社会保険の処理のためにfreee人事労務が使えます。このふたつのソフトは連動できる点も非常に役立っています。
もしfreee会計を別のサービスに変えると、社会保険料の計算のソフトも考え直さないといけません。
会計ソフトを変えるには、データ移行や使い方を覚える手間がかかります。そこに会計ソフトと人事労務ソフトを一気に変えると面倒です。
法人に必須の機能が楽天にしかない
次に考えたのが銀行を変えることです。freee会計と同期できる銀行はいくつもあります。ですから、他の銀行を選ぶこともできます。
しかし楽天銀行にしかない機能が2つあり、それは法人口座にとって必須と言えるものです。一つは「Pay-easy(ペイジー)が使えること」で、もう一つは「給与振込が簡単」という点です。
Pay-easyで手数料無料・ネットで社会保険料が支払える
Pay-easyというのは、各種税金や公共料金などを支払うためのサービスです。通常、払込書での支払いは金融機関の窓口やコンビニに行かなければいけません。でもPay-easyであればネットバンクから支払えます。
これが、毎月会社が行う社会保険料や税金の支払いに便利なのです。Pay-easyはインターネットで手続きができる上に、手数料が無料です。
個人事業主の国民年金保険料とか国民健康保険料はコンビニでも支払えます。しかし法人の社会保険料の支払いはそうはいきません。金融機関で納付するか、Pay-easyか自動引き落としのいずれかです。
いちいち金融機関に行くのも面倒ですよね。現金を下ろすのも曜日や時間帯によっては手数料がかかります。どう考えてもインターネット口座から手数料無料で手続きした方が便利です。
しかしPay-easyはすべての銀行でできるわけではありません。楽天銀行は対応していますが、たとえばネット銀行で有名な住信SBIネット銀行は未対応です。
全員分のデータを一度作れば、給与が自動で振り込まれる
次に給与の振込が簡単、という話をします。「ファームバンキング」という導入費用、月額料、手数料とも無料のサービスがあります。
どのようなサービスかというと、まず誰にいくら支払うという給料のデータを作ります。それを読み込ませると、指定日に全員に給料を振り込んでくれます。
この機能があれば、とくに従業員が多ければ手間とコストを大幅に削減できます。
楽天銀行で報酬を受け取ると個人口座ランクが上がる
さらに僕は自分の役員報酬も楽天銀行の個人口座で受け取っています。
法人口座から個人口座に給料を受け取ると、個人口座のランクが上がります。そのおかげで振込手数料が何回か無料になったり、ATMの無料利用回数が増えたりするのもメリットです。
Pay-easyが使えるのと給与の処理が簡単という2点。さらには個人口座のランクが上がるというメリットも、すべて捨てがたいです。
今後の対応について
最後に、楽天銀行とfreee会計を使い続ける場合の今後についてです。
楽天銀行からCSVファイルをダウンロードしてfreee会計に取り込む
freeeからの通知のメールには、以下の記載もありました。
2月24日(木)以降も楽天銀行口座の明細をfreee会計に登録する場合には、お手数ではございますが、楽天銀行のインターネットバンキングからダウンロードしたCSVファイルを、freee会計へアップロードしていただくか、手動にて明細情報を入力いただくことが必要となります。
この方法を使えば、ある程度は記帳処理を効率化できます。同期機能よりは手作業が必要ですが、全取引の明細をひとつずつ入力せずに済みます。
では、実際の楽天銀行の法人口座サイトを見てみましょう。取引の明細のところにCSVをダウンロードできる画面があります。
ダウンロード期間の漏れやダブりに注意
ここで期間を指定してダウンロードします。このとき期間の重複や抜け漏れに気を付けてください。
たとえば最初にダウンロードしたのが2月1日から2月10日までのデータ。次が2月15日から2月28日までだったとしましょう。すると11日から14日までのデータが不足します。
一方、2度目の取り込みが2月5日から2月28日だったら、5日から10日までのデータが重複します。
このような漏れや重複を後から調整するのは面倒です。対策としては、たとえば月1回、1ヶ月分のデータを翌月5日に取り込むなど、ルール化しておくといいでしょう。
個人事業主なら銀行を変えることもあり
ここまでにお伝えしてきた理由から、僕は今後も楽天銀行を使い続けることにしました。
ただこのふたつの機能が必要なのは基本的には法人ですよね。だから個人事業主の方であれば、他の銀行に乗り換えてもよいかもしれません。
freee会計が連携している口座の一覧は公開されています。これを見ると、個人口座であれば多くの銀行が同期機能に対応しています。概要欄にリンクを張っておきますので参照してください。
帳簿作成は面倒だから効率化策を
帳簿作成って面倒くさいですよね。できるだけ効率化したいので、楽天銀行とfreee会計の同期ができなくなったのは非常に残念です。
引き続き帳簿作成の効率化を考えていきますが、何かこうした方がよいというアイデアがあればぜひコメントをいただけると嬉しいです。
今回も最後までお読みいただきありがとうございました。
このブログでは、主にフリーランスの方に向けて、仕事関係やお金関係、税金だけでなく、社会保険や老後資金なども幅広く情報を発信しています。
※本記事は執筆時点の情報に基づき掲載しています。制度のルールなどが変わる可能性がありますので、最新の情報をご確認ください。
[参考リンク]
・ペイジーが利用可能な企業・団体(Pay-easyホームページ)