こんにちはよしこばです。
僕が国税職員から独立して依頼、「税理士資格は取らないのですか」という質問をたびたび受けます。
税理士資格を取るのは、実はそこまで難しくはありません。元国税職員なので試験免除になっているからです。
今回は試験免除のしくみや、それでも僕が税理士になろうと思わない理由を記事にしたいと思います。最後に、新たに始めた一般社団法人の活動についてもお伝えします。
こちらの内容は以下のYouTube動画の内容を基に作成しています。一般社団法人のことには触れていませんが、よろしければあわせてご覧ください。
税理士になる方法
税理士になる方法といえば、試験に合格することが思いつきますよね。その他にもいくつか税理士資格を取る方法があります。
税理士試験に合格する
まずはオーソドックスな税理士試験から説明していきます。
試験があることは知られていても、どのような科目があるのか等の詳細はあまり知られていないかなと思います。
税理士になるには合計5科目、会計学に関する2科目と税法に関する3科目の試験に合格することが必要です。
会計学の2科目は簿記論と財務諸表論でどちらも必須です。
税法は選択式で、所得税法、法人税法、相続税法、消費税法、酒税法、国税徴収法、住民税、事業税、固定資産税の中から3科目を選ぶことになっています。このうち所得税法か法人税法のどちらかひとつは必ず合格する必要があります。
税理士試験が特徴的なのは、公認会計士などとは違って、一度に全5科目に合格する必要がないことです。
だから1年に1、2科目の合格を目指して勉強される方が多いようです。
国税職員として一定年数勤務して試験の免除を受ける
税理士試験を受けなくとも、ある一定の条件を満たすと税理士試験が免除されることがあります。
たとえば弁護士や公認会計士の資格を持っていると税理士として活動することが認められています。
そして、国税職員として一定年数以上勤務すると試験を免除されるという制度も存在します。僕の場合、この仕組みを利用することができました。
税務署や国税局に採用された税務職員の場合、最終的には全5科目の試験を免除してもらうことができます。全科目免除に必要な勤続年数は、採用区分によって異なりますが、18年間もしくは23年間です。
また、この基準に満たない場合でも、従事していた業務の種類によって一部の科目が免除されます。
例えば僕の場合は、勤続13年だったので全科目免除にはなりませんでしたが、10年以上、国税の賦課に関する業務をしていたので税法3科目の免除を受けています。
つまり僕の場合は会計学の2科目、簿記論と財務諸表論に合格すれば、5科目を合格したことになり、税理士の資格が取れるということです。
税理士の独占業務は税務代行、税務書類の作成、税務相談
次に、税理士になると何ができるのかを解説します。税理士の業務は大きく三つに分かれています。
- 税務代理
- 確定申告書等の代行作成
- 税務相談の対応
これらは税理士の独占業務といって、税理士資格を持っていなければすることができません。たとえ僕のように税務職員の経験があっても、資格がない人がこれらの業務をするのは違法なのです。
税務相談については若干グレーなところもあり、ファイナンシャルプランナーさんや、保険業者さんが、簡単な税金のアドバイスをくれることはあると思います。ただ、踏み込んだアドバイスは税理士ではいといけない、ということですね。
資格を取らない、という判断
ここからは僕自身の話になりますが、なぜ税理士資格を取らないのかと言うと、単純にこれらの独占業務をしたいとは思っていないからです。
例えば申告書の作成代行を事業として行うには、ある程度の規模が必要です。そうするとスタッフを雇用して事務所を運営していくことになり、書類作成だけでなくマネジメントもしなければいけませんよね。
また税務相談も、税務職員だった頃のように質問に答えるだけでは足りないでしょう。
こうした税理士業務は、自分がしたいと思いませんし、向いているとも思えません。
僕がしたいことは、税金等のお金関係やその他にもちょっと難しそうな情報を、かみ砕いてわかりやすく世の中に伝えることです。
ですから、もし税金に関する記事の執筆が、税理士の独占業務に含まれていたら必ず資格を取っていたかもしれませんね。
独立後の生活が不安で、税理士試験に挑戦したこともある
そうは言いながら、実は税理士試験に一度だけチャレンジしたことがありました。
ライターとして独立する2年前だったと思います。フリーランスとして生活していかれるのか不安があって、税理士資格を持っていれば安心かな、と思ったのです。
簿記論と財務諸表論を独学で勉強して試験を受けましたが、残念ながら不合格でした。
国税庁のホームページには合格基準点は各科目とも満点の60%と書かれていますが、合格するのは上位10%程度の相対評価です。
ですので具体的に何点取れば合格ということはないのですが、僕の場合は不合格の判定がAだったので、合格に近い所に入っていたと思います。
※平成30年度以降の試験では、不合格の場合の通知がA~Dのランクから総得点に変わっています。
そこからもう一回チャレンジすることもできたのですが、結局やめました。一年後に向けてずっと勉強するモチベーションが続かなかったんですね。
まずライターとして頑張ってみて、それでやっていけないとなったら、意識を切り替えてまた受験しようと思いました。
結局、ライターの仕事が忙しくなり、ある程度の収入も得られるようになったので、もはや税理士試験を受ける理由はなくなってしまいました。
資格を取る意味とは
過去を振り返ってみても、税理士に限らず僕は必要性がないと資格の勉強に一生懸命になれません。
資格取得の目的は人それぞれで、勉強が好きで幅広く資格を取りたいという方もいますし、ひとつのことを極めるためにその関連の資格を色々取りたいという方もいらっしゃるでしょう。
僕の場合、何か具体的な目的があれば資格の勉強をします。
例えば僕は日商簿記検定2級を持っています。税務職員は研修中にこの資格を取らなければいけないと聞いていたので、どうせ必要ならと思って時間のある大学4年の時に取得しました。
あとはTOEICのスコアで750を取ったこともあります。これは税務職員だった頃に国際租税セミナーというものに参加したくて、その条件として必要だったから取得したものです。
簿記を学びたいわけでも英語を学びたいわけでもなく、必要だったから取得したので、その後簿記1級を目指すことも、TOEICのスコア900を目指すこともありませんでした。
先ほど書いたように、僕にとっては税理士資格の取得もこれらと同じようにその先に目指す目的がなかったのです。
税理士と連携をします
最後は少し税理士資格の話からそれたところもありましたが、今回は税理士資格について解説し、僕自身のことについても書かせてもらいました。
こんな風に税理士資格に背を向けて生きてきたのですが、面白いことに最近は税理士さんと連携する機会が増えています。
税理士さんに取材をして書籍にしたり、税理士事務所のホームページの文章を作ったり。そんな仕事で収入を得ているわけですから、人生分からないものです。
そしてこのたび、相続や不動産に強い税理士さんと、一般社団法人を立ち上げることになりました。
法人の名前は、かぶきライフサポートです。
これまでライターとして仕事をしてきて、ときどき税金の相談をしたいと言ってくださる方がいました。ただ、税理士資格がないので、基本的にはお断りしていました。
でもこうして税理士さんと連携を取ることができたので、今後はご紹介などでお悩みを解決できるかもしれません。
僕がやっていることは、読者の方がご自身で税金などの問題を解決できるようサポートをすることです。でも、さらに踏み込んだサポートが必要なら、税理士さんをご紹介できればと考えています。
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※本記事は執筆時点の情報に基づき掲載しています。制度のルールなどが変わる可能性がありますので、最新の情報をご確認ください。
【参考リンク】
・税理士試験(国税庁ホームページ)
https://www.nta.go.jp/taxes/zeirishi/zeirishishiken/zeirishi.htm