こんにちは、よしこばです。
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同じ内容をテキストで読みたいという方もいらっしゃるかな、と思い、台本を記事で公開します。今回は住宅ローンについて、ですね。動画でもテキストでも、お好きなほうでお楽しみください。
本記事のまとめ
- 先日自宅を購入
- 収入や仕事の状況を話すと、不動産会社の方は「厳しいですね」という反応。ローン本審査の前に行われる事前審査さえ、銀行からは受けてもらえなかった。
- その第一の理由は、「返戻率」にあった
- 返戻率とは、年収に占めるローンの返済額
- 金融機関ごとに返戻率の基準があり、この基準内でなければローンを組めない。つまり、年収が少ないと、その分借りられるローンは少なくなる。
- 返戻率を計算する基準となる年収は、確定した前年の年収。なので、今年いかに収入があっても、前年の収入が少ないと厳しい
- フリーランスの場合、節税をすると所得が下がるので、ローン審査に影響が出る
- 次に気をつけたいのが信用情報。クレジットカードの支払いに遅れたり、携帯電話の分割代金の遅れなどがあると、履歴が残る。ローン審査ではこの履歴を見られるので、要注意。
- 対策はいくつかある。まずは、ローンを組む前の年は、任意でできる節税は控えて、所得金額を大きくしておく。あとは車などのローンも返済率に影響するので組むタイミングを考えましょう。
- 次に信用情報に傷がつかないように。履歴は最長で10年残ると言われています。確認方法を知らせるので、それを確認して対策を考えましょう。
- フラット35の場合、前の家のローンを返済率に影響させない取り扱いがある
フリーランスのローン審査のリアル
先日、自宅を買い替えたという動画をアップしました。
おかげさまで何とかローンを組んで希望通りの戸建てに引っ越すことができましたが、物件の引き渡しまではヒヤヒヤだったんです。というのも、ローン審査が厳しかったから。
物件の内覧が終わり、不動産屋さんと購入の相談をしたのですが、僕が自営業であることを話し、確定申告などの書類を見せたところ、「正直、厳しいですね」という反応でした。
結果的に、住宅支援機構というところが扱っているフラット35Sという固定金利タイプのローンを組むことができたのですが、民間の銀行は全滅。しかも本申込みの前の事前申し込みさえも受けさせてもらえませんでした。
公務員時代を振り返ると、ローンは選び放題でしたし、通ることを前提に、引っ越し日などを決めた記憶があります。当時と比べると、ずいぶん環境が変わりました。これもフリーランスのリアルな話です。
それでは、なぜ僕のローン審査がこのような結果になったのでしょうか。その理由は、「返戻率」という考え方にあります。
チェックポイント1「返戻率」
まず最初に注意していただきたいのが、住宅ローン審査の基準は金融機関ごとに設けられていて、その基準は公開されていません。なので、ここからお話するのは住宅ローンの基本的な考え方です。
おそらくどの金融機関でも重視されているのが、「返戻率」という考え方です。これは年収に占めるローンの返済額を指します。たとえば年収が500万円で、金融機関が定める返戻率の基準が30%であれば、年間のローン返済額は150万円に納めなくてはいけません。
気をつけないといけないのは、返戻率を計算するときには、住宅ローンだけでなく、すべての借り入れが含まれるということです。たとえば車のローンや教育ローン、クレジットカードのキャッシングなどを利用していると、その分、住宅ローンとして借りられる金額は少なくなっていきます。
僕は車などのローンは組んでいなかったのですが、ひとつ大きな問題がありました。それは、今回は自宅の買い替えだった、ということです。もともと住んでいたマンションにもローンが残っていたので、自宅を買い替えた場合、もとのマンションが売れるまではダブルローンです。
返戻率の基準になるのは、前年所得
この年収という言葉の定義もはっきりはしていないのですが、ローン審査の際に、住民税の所得証明書の提出を求められることからすると、「前年の所得」が基準になると考えられます。まずは、今年ではなく前年というところが要注意ですね。
ちなみに住宅ローンを扱っているARUHIのサイトでは、このように「年収」の基準が公開されているので、見てみましょう。
大事なのは、【給与収入のみの方」と「上記以外の方」で分かれているという点ですね。給与収入の人は「給与収入金額」が基準です。一方、そのほかの人は、「所得金額の合計額」が基準になっています。
つまり、サラリーマンであれば、額面の給与収入額が基準になるということです。ところがフリーランスなど、サラリーマン以外の人になると、収入から必要経費や特別控除を引いた「所得」が基準になるということですよね。
これ、少しむずかしい話ですので、同じように年間収入が500万円のサラリーマンとフリーランスで比較をしてみたいと思います。サラリーマンの場合、給与収入に応じて自動的に給与所得が決まります。給与収入500万円なら、給与所得は356万円です。
一方、フリーランスの場合は、事業収入から、必要経費や特別控除を差し引いて事業所得を計算します。ここでは仮に事業所得を200万円としました。
そして、問題はここから。サラリーマンの場合、収入が基準になるので、今回のケースでは500万円をベースに返戻率が計算され、借りられる金額が決まります。一方、フリーランスの場合は、同じく年収500万円であっても、所得が基準になるので200万円がベースです。ということは、借りられる金額もそれだけ少なくなってしまいます。
どうでしょう、ちょっと不公平に感じませんか? でも金融機関のルールなので、どうしようもありません。この問題の対策は後でお話しますが、簡単に説明すると、フリーランスの方は節税をしすぎるとローン審査が厳しくなってしまうので、要注意ということです。
ちなみに僕の場合、2017年7月に個人事業をはじめたのですが、その1年後に法人を立ち上げています。そしてライティングなどの収入は法人で受け、その一部を僕への給料という形で支払っています。所得税や住民税、社会保険料の節約のために、僕への給料は必要最低限の金額に設定していますので、僕個人としての年収はそこまで大きくはありません。
このような事情もあって、今回の僕の住宅ローン審査は厳しくなってしまったんですね。個人の前年所得が少なく、しかも買い替えでダブルローン状態なわけですから、仕方のないことです。
それでも何とかローンを組むことができたのは、次に説明する信用情報に傷がなかったからだと思っています。
チェックポイント2「信用情報」
こちらは僕の場合大丈夫だったのですが、住宅ローン審査を受けるときは信用情報にも注意が必要です。まず、住宅ローンを組む際の基本的な流れを見てみましょう。このような形です。審査は事前審査と本審査の2度にわたって行われます。
この事前審査の段階で、金融機関から信用情報機関に対して、個人信用情報の照会が行われます。ここで確認されるのは、クレジットカードやローンの契約内容や返済状況、破産申し立てなどの情報です。
当然ながら、過去にクレジットカード代金などの滞納が履歴として残っていれば、住宅ローン審査にも影響がおよびます。履歴の残る期間は、基本的に5年ですが、内容によっては10年以内は残るケースもあるようです。
たとえば、クレジットカードの滞納を繰り返したり、長期間滞納したような履歴が残っていると、住宅ローンの審査は厳しくなると考えられます。
対策1 ローンを借りる前年の節税はほどほどに
ではここから具体的な対策を説明してきます。
さきほど説明したとおり、フリーランスがローンを組むときは、ローンを組む前年の所得金額を下げすぎないことが大切です。たとえば極端に節税をして赤字にしてしまうと、ローンがまったく組めなくなるおそれもありますので。
ただ、節税を一切しないように、ということではありません。同じ節税でも、住宅ローン審査に影響のある節税もあれば、そうではないものもあるからです。
住宅ローン審査に影響のある節税とは、「事業所得を下げるもの」です。よくあるのが必要経費を増やすということでしょう。パソコンを買い替えたり、家族に支払ったりするのは、節税には効果的ですが、事業所得を下げてしまいます。ですから、ローンを組む前の年にはこうした節税は控えて、ローンを無事組めるまで、必要経費を増やす買い物は控えたほうがいいと思いますね。
逆にローン審査に影響が出ないのが、事業所得は下げない節税です。まずは、医療費控除や社会保険料控除といった、所得控除は問題ありません。フリーランスの節税に効果的な、小規模企業共済も大丈夫です。またふるさと納税も、所得には影響せず、税額を直接減らす節税方法なので、こちらも大丈夫ですね。
対策2 信用情報
次に信用情報についてです。これは単純な話で、お金を借りたときは、期限までに返すことを徹底すれば大丈夫です。クレジットカードのキャッシングや、ローン返済、スマホの分割代金など、意外と身の回りには色々な借り入れがあるので、これらを忘れずに支払う。
僕の場合、もともと税務職員だったこともあって、期限から遅れること自体に不安があります。税金も支払いが遅れるといろいろなペナルティがありますからね。普段から支払期限を守る意識をもっておくのが一番だと思います。
信用情報に不安のある方は、まずは信用情情報機関に照会をされるといいと思います。500円から1000円ほどの手数料で自分の信用情報確認できますので、概要欄のリンクをご覧ください。
対策3 フラット35を検討する
説明したとおり、住宅ローン審査において、まず大切なのが返済率です。そのため、自宅の買い替えで一定時期にダブルローンになる方は、かなりローン審査が厳しくなると考えられます。僕もそうでした。
ただ、最終的に僕は住宅支援機構が提供するフラット35Sでローンを組むことができました。その理由は、フラット35やフラット35Sの場合、元の家を売却する予定があり、その売却代金でローンを完済できることが確実な場合や、手元にある資金などを使ってローンを完済できることが確実な場合は、特別な取り扱いをしてくれるからです。
具体的には、新たに組む【フラット35】の総返済負担率の計算において、売却予定の住宅の返済額を年間合計返済額に加えなくてもよくなります。
もう少し簡単に説明しましょう。元の家にローンが残っていても、その家を売却してローンを完済できる見込みがあれば、新しい家のローンだけで返済率を計算してくれるということです。
僕はこの制度を使って、なんとかローン審査をクリアすることができました
まとめ
ということで、今回はフリーランスとして僕が体験したローン審査を踏まえ、注意点や対策を説明しました。あらためてポイントをまとめると、ローンを組む前年は事業所得を下げるような節税は避け、信用情報に傷をつけないように心がける、ということですね。
またダブルローンになる方は、銀行のローンは難しいかもしれませんが、フラット35の審査は通る可能性があります。まずは不動産屋さんにご相談されるといいと思います。
あと、いまはサラリーマンで、これからフリーランスになるという方は、いまのうちにローンを組んでおいたほうがいいかもしれません。フリーランスでもローンは組めるとはいえ、独立直後はかなり厳しい審査になることが予想されます。
いずれにしても、住宅ローンを組むときは、審査をクリアするだけでなく、その後にきちんと返済していけるかを考えることも大切ですね。収入が不安定なフリーランスであればとくに、慎重に考えていただければと思います。