先延ばしグセをやめたくないですか? やるべきことにすぐ着手すれば自分の人生をコントロールできます。そのためにできる簡単な方法が、『The 5 Second Rule』という本に書かれていました。
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メル・ロビンズ著『The 5 Second Rule』の紹介
この本は2017年に発売されました。サブタイトルは、Transform your Life, Work, and Confidence with Everyday Courage。人生や仕事を変えて、毎日の勇気づけで自信を持つ、というような意味ですね。
日本語訳の本もあります。題名は『5秒ルール―直感的に行動するためのシンプルな法則』です。
5秒数えることで生活を変えた著者
著者のロビンズさんは、かつて失業していて、お金のトラブルにも巻き込まれていたそうです。アルコールも止められず、目覚まし時計が鳴っても起きられない。そのような生活をしていました。
それがある日ふと思い立って、目覚ましがなった時に5秒前待ったそうです。いつもならすぐに止めてしまうところを、5・4・3・2・1と数えてみた。
すると、二度寝せずに、しかも前向きな気分で起き上がれたのです。この5秒間に自分のネガティブな感情が解消されて、「いま起きる」というすべきことに意識が向けられた。それで行動につながったとのことです。
彼女はこの「5秒ルール」を、生活の中で他の場面にも取り入れてみることにしました。すると寝坊もしなくなり、アルコールもやめられた。
自分の生活を少しずつコントロールできるようになり、どんどん幸福感が高まっていったそうです。
幸福感を高める方法
「自分で自分の人生をコントロールしている」と感じると、幸福感が上がります。心理学者のジュリアン・ロッターによって、1954年に発表された研究が、そのことを証明しています。
突然意図しない大金をもらっても、実は幸せになりにくい。それは、自分でコントロールしていないからです。むしろ、急にたくさんお金が入って困るとか、不幸にさえなる人もいますね。
幸せを感じるには、自分で周囲の状況を整理して「コントロールしている」と思えることが大切なのです。
5秒ルールのやり方
著者が考え出した5秒ルールはとてもシンプル。自分が流されそうになった時、5秒数えてから行動する。ただそれだけです。
たとえば仕事中にネットニュースを見たくなったら、5秒数える。プレッシャーのかかるメールがきて焦ったら、5秒数える。5秒数えることに集中することで、気持ちが落ち着くのでしょう。それから、自分がすべきことに戻るのです。
これは家庭生活においても役立つものだと思います。子どもやパートナーにイライラした時に5秒数える。それで冷静になれば、むやみに叱ったり、喧嘩になることを避けられるのではないでしょうか。
つい先延ばしをしてしまう理由
そもそも、なぜ先延ばしをしてしまうのか。本書ではティモシー・ピッチェルさんの研究が紹介されていました。
ストレスを解消するため
研究によると、先延ばしするクセは人の本能に刻み込まれているそうです。一時的にストレスから解放し心を落ち着けるために、人間は一旦先延ばしにしようとします。これは誰にとっても、普通にあることなのです。
いま、スマホやタブレットによって人々の集中力がなくなっています。これらのテクノロジーは生産性を上げてくれました。でも、ついSNSをチェックしたくなったりして、僕たちの気を散らすことにもつながっていますよね。その結果、やるべきことを先延ばしにしがちになる。これは以前ブログの記事でも書いたことです。
先延ばしを続けると大きなプレッシャーになる
ただ、長期的に見れば、先延ばしはむしろ自分に対してプレッシャーを与えることになります。結局、すべきことが終わっていなくて積み重なっていくわけですから。
本当にプレッシャーから解放されるには、タスクを終えなければいけません。そのための最善の策は、早く着手することです。そして着手するために、先延ばししたいという気持ちを切り替える。そこで5秒ルールが役立ちます。
先延ばしをするときは、何かネガティブな感情が潜んでいます。「しんどいな」とか、「もう少し寝ていたいな」というような。そういう感情は、たった5秒間を意識するだけで解消できます。
僕自身、この5秒ルールを使うようになって、仕事の生産性が高まったと感じます。まだ完全にできているわけではなく、思いついた時にするくらいです。それでも、無駄な時間は減っています。
5秒ルールのコツ。勢いをつけて勇気を出す
この5秒ルールには、ちょっとしたコツがあります。カウントダウンの最後に勢いをつけるのです。5・4・3・2・1のカウントダウンの後に、「Go!」と言う。勢いをつければ勇気も湧いて、行動しやすくなりますよね。
これについて、黒人女性のローザ・パークスさんの事例が挙げられていました。この方のエピソードはご存知の方もいらっしゃるかもしれません。
まだ黒人差別が色濃く残っていた1950年代、バスの中には白人優先席があったそうです。ローザ・パークスさんがそこに座っていたところに、白人男性が乗車してきたました。
「譲れ」と言われたけれども、彼女は少し黙ってから拒否したのです。それで彼女は逮捕されてしまいます。この事件は、キング牧師をはじめとする黒人差別撤廃運動のきっかけになった出来事ですね。
本書では、パークスさんも5秒の間に勇気を振り絞ったのかもしれない、と書かれていました。彼女は知的階級の方で、内向的なタイプだったようです。だから白人男性に刃向かうことは、想像しにくい。5秒カウントダウンで勢いをつけて、「嫌です」と拒否したのかもしれません。
気持ちを落ち着けたい時に、「落ち着け」と言い聞かせても逆に緊張してしまいます。それよりも、「今ワクワクしている」とか「やってやろう」という前向きな気持ちをもったほうがいい。その意味でも、5・4・3・2・1と気持ちを落ち着けて、Go! で「さあやるぞ!」と行動するのは役に立ちそうですよね。
人生の多くの時間を無駄にしたと感じる恐怖
本書に挙げられていた印象的な事例があります。コーネル大学の研究によると、アメリカの多くの高齢者は「人生の多くの時間を無駄にしてきた」と考えているというのです。
すべきことを先延ばしし続けた結果、高齢になって後悔することになる。これって本当に怖いことですよね。
この本を読んで、僕も考えさせられました。仕事や家庭のことに追われて、「今日ではなくていい」と言い訳をして、ついつい先延ばししていたことがいくつか思い浮かびます。
人生の時間を無駄にしないよう、5秒カウントをして行動していかなくては、と思いました。
「やる」と決めて行動せよ
目標達成のために必要なのは、「自分が決定を下すことだけ」だと著者は説いています。周囲の人から「それをするな」と言われることもあるかもしれません。でも自分の目標のためですから、するかしないかを決めるのは自分です。
周囲の雑音とか、不安な気持ちを避けることで大きな成果につながる事例もいくつか紹介されています。有名な話ですがハリーポッターの著者のローリングさん。シングルマザーでお子さんを抱えながら、隙間時間に原稿を書いていた。多くの出版社に断られたそうですが、今は誰もが知るベストセラーですよね。
他にも世界的なベストセラーで、映画やドラマ化もされた「フィフティ・シェイズ」というシリーズ。この本は、最初出版できる見込みはなかったそうです。でも著者は周りを気にせず、とにかく書き上げて自費出版した。それが世界的なベストセラーになった。僕もいつか小説を書きたいという思いがあるので、こういう話には勇気づけられます。
まとめ。5秒数えて集中する
今回紹介した『5 Second Rule』。先延ばしをやめて、自分のゴールに近づくためのシンプルな方法が解説されています。忙しいと感じているすべての現代人に知ってほしい、オススメの本です。日本語版も出ていますので、読んでみていただけたらと思います。
5秒数えることで心を落ち着けて、すべきことに集中する。僕も実際にやってみて、この5秒がポイントだと感じました。30秒とか1分だと長いですよね。気持ちが落ち着くのを通り越して、やる気が失せてしまう気がします。
5・4・3・2・1、GO! これを意識して、自分がしたいことや自分にとって重要なことを先延ばしせずに、ゴールを目指していきましょう。
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※本記事は執筆時点の情報に基づき掲載しています。制度のルールなどが変わる可能性がありますので、最新の情報をご確認ください
【今回紹介した本】
・『The 5 Second Rule: Transform your Life, Work, and Confidence with Everyday Courage』
・(日本語版)『5秒ルール―直感的に行動するためのシンプルな法則』