こんにちは、よしこばです。
3月中旬に発売した自著「すみません、金利ってなんですか?」(サンマーク出版)が順調に版を重ねています。
半年も経たずして現在9刷で6万5千部! という自分でも驚くような状況になっています。嬉しいレビューも増えてきていて、著者冥利につきますね。
そこで、あらためてこの本について、今日の記事でお伝えしたいと思います。
本書を出版することになったきっかけ
本書は、サンマーク出版の編集者である梅田さんが企画されたものです。出版に至る経緯については、本書のまえがきで梅田さん自身が書かれています。少し引用してみましょう。
この本は、ある悩みが発端でできました。それは、「お金のことがまったくわからないまま大人になってしまった」という僕自身の切実な悩み。
このようなお悩みがあって、「世界一ハードルの低いお金の本」をコンセプトにした企画ができ、梅田さんは著者の先生探しを始めます。
ところが……僕が素直に無知ぶりを打ち明けると、どの著者候補の先生も難色を示すのです。
「だって梅田さん、そんなことカンタンすぎて、とても本にはなりませんよ」
そう、厳しく助言してくれる人がほとんど、という状況でした。
僕が梅田さんと知り合ったのは、そういった状況にあったタイミングだったそうです。当時の僕はまだ国税職員だったのですが、ライターとして独立することを決めていました。
その後、ライターとして独立して数ヶ月後、再び梅田さんから連絡をいただいた時には、「小林さんの本で」という話になっていたので、正直驚きました。
まだライターとして独立したばかりということもあり、自分が著者になるというのは、かなり突拍子もないことに思えたんですね。
それでも、この企画を受け入れたのは、僕自身、国税職員という特殊なキャリアがなければ、梅田さんと同じような悩みを抱えていたと思ったからです。
お金に振り回された学生時代
奨学金1000万円
大学を卒業して、東京国税局に入る頃、僕は1000万円近い借金を抱えていました。
といってもギャンブルをしたわけでも事業に失敗したわけでもありません。ただ、大学生活を送っていただけなのですが。
理由は、奨学金をたくさん借りていたから。
中学生の頃に両親が離婚したということもあり、高校から奨学金を借りていました。
さらに大学は、何も考えずに私立大、しかも一人暮らしをしていたので、学費と生活費を合わせて毎月16万円もの奨学金を借りていたんです。
つまり、大学在学中だけで、16万円×48ヶ月=768万円。これに利息や、高校時代の奨学金も加わるので、1000万円ほど……。
当時は、これが借金という自覚はさほどなく、とくに利息がつくという意味はまったく理解できていなかったと思います。
お恥ずかしながら、もともとお金に強いほうではなかったんですね。
「月7000円」だから大丈夫?
振り返れば、大学時代は、甘い言葉につられて高級布団をかわされそうになったこともあります。
ある日、「布団のクリーニング屋」と名乗る人が訪ねてきました。布団の状態は無料でチェックしてくれる、という話だったので、家に上げてしまいました。この時点で、今から考えるとアウトですけど。
そして布団を見てもらったら、「これはもうクリーニングでは無理」という反応……。そこで勧められたのが、布団のセットだったというわけです。
とはいえ、お金に余裕があったわけではないので、当然ながら断ります。すると、相手が口にしたのが「小林さん、いくらくらいなら払えそうですか?」という言葉。
そこで、考えた末に「7,000円」と答えたところ、「じゃあ7,000円でいいですよ。敷布団、掛ふとん、毛布のセットで」と言われます。
正直、そのとき僕は「これは得なのでは?」と思ってしまいました。そして了承したところ、すぐに布団が自宅に運び込まれ、僕は言われるがままに書類に書き込み、印鑑を押しました。
そうして新しい布団で早速眠った翌朝……。テーブルの上に置いてあった書類をよく見て、驚きました。
なんと、総額約80万円! 「7,000円のはずなのに」と思い、書類をよくよく見てみると、たしかに7,000円という数字が見つかりました。
ところが、それは「1ヶ月の返済額」の欄にあったんですね。僕は、「月7,000円の7年払い」のローン契約を結んでしまっていたわけです……。
もっとも、このときは相談した友人のナイスアドバイスによって、消費者センターに駆け込んだところ、「クーリングオフできる」ということを聞きました。
センターの方のアドバイスどおり、商品を着払いで送り返すとともに、内容証明郵便でクーリングオフの申し出をしたところ、ローン契約は解除となりました。よかった。あのローンが残っていたら、たぶん人生変わっていたと思いますね。
国税職員時代に、お金の基本をたたきこまれる
というわけで、大学卒業までの僕は、むしろお金のことがわからず、実際に危ない目にもあってきました。
そこから公務員を目指し、東京国税局に採用され、僕はお金の知識を身につけることになります。
国税職員は、採用後に「法人課税」「個人課税」「資産課税」「徴収」の4つのタイプに割り振られます。そして僕は、資産課税の背番号がつけられました。
資産課税というのは、相続税や贈与税、土地や株式などの売買にかかる所得税を扱う職員です。その名のとおり、「資産」に関係する税金ですね。
このうち、新人の頃に主に担当していたのが相続税。
相続税というのは、個人が亡くなったとき、その財産や債務に応じてかかる税金です。僕はこの相続税の申告書のチェックや、税務調査を担当していました。
この相続税の仕事を通じて、先輩や上司から教わりながら、僕はお金の知識を多く身につけることができたと思います。
というのも、相続税は、その性質上、幅広くお金の知識が必要になるからです。
相続財産といっても、預金だけではありません。株式、土地、建物、保険、年金など、様々で、資産課税の職員は、それぞれのルールを知っておく必要があります。
相続財産だけでなく、借金も計算に影響してくるので、融資や金利のしくみも大切です。
こういった仕事を通じて、僕はお金の知識を身に着けることができました。学生時代に借りた奨学金の多さがいかに危険だったかも、このときに認識しましたね……。
お金の基本を知っていれば、「ある程度の」自由を得られる
というわけで、東京国税局の職員だった13年間に、僕はお金の基本的な知識を得ることができました。
もちろん、大学教授のような専門性があるわけではありませんが、日々の暮らしに関わる範囲では、問題ないと思っています。
僕は就職してから、いくつかの大きな決断をしました。
- 結婚
- 子どもをつくる
- ローンでマンションを買う
- 公務員を辞めてフリーランスで独立する
これらの決断をするうえで、お金の知識は僕の背中を押してくれたと思います。それぞれの決断は、金銭的リスクをはらんでいるのですが、そのリスクをカバーできるだけの知識があったということです。
ほかにも、細かい話もありますね。
- 米国株のETFを、つみたてNISA口座で運用している
- 住宅ローン控除を使っている
- 自分で確定申告をしている
- 自分だけで会社を設立した
- 国からの補助金を受けている
- 学資保険に入っている
- 僕が死んでも大丈夫なくらいの保険に入っている
こうしたことも、やはり前提となるのはお金の知識だったりします。
あらゆるアクションには、お金の問題がつきまといます。でも、しくみさえ知れば、意外と大した問題ではない、ということもあるんです。
僕はライターとして、そのことを伝えていきたいですし、「すみません、金利ってなんですか?」は、そういう気持ちが形になった仕事なのだと思っています。
初めて、自著について生放送でお話します
最後に告知をさせてください。
7月17日(金)の21時から22時に、Schooの「著者が解説 人気ビジネス書」のコーナーに出させていただくことになりました。
著書について雑誌などのインタビューを受けることはありますが、番組に出演するのは初めてです。緊張しますね…。
著書の内容のほか、僕自身のこともインタビューされるようなので、もしご興味があれば、ご視聴いただけると嬉しいです。生放送なら無料で視聴でき、有料会員なら後日動画を見ることもできます。