とりわけ専門性の高い記事を書くとき、重要になるのが「リサーチ」です。知識に自信のある人でも、最新情報をチェックしなければ間違えた情報を発信するおそれがあります。今回はリサーチの重要性や、僕が実際にやっている方法をお伝えします。
リサーチを行うメリット
ビジネスジャンルの記事や本を書くときは、常に「裏付け」があるかリサーチをしましょう。リサーチには情報の正確性を確認することだけでなく、ユニークな視点を得るきっかけにもなります。以下はリサーチの主なメリットです。
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正確性の確保
ビジネスは常に変化しており、最新かつ正確な情報を提供する必要があります。リサーチを行うことで、正しいデータや統計、トレンドを捉えることができ、読者に対して信頼性のある情報を提供することが可能になります。
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深い洞察の提供
ビジネスの世界は複雑であり、表面的な情報だけでは十分な理解が得られません。リサーチを通じて、業界の動向、競合分析、市場のニーズなどを深く理解することで、読者に対して付加価値の高い洞察を提供できます。
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信頼性の構築
詳細なリサーチに基づいた情報は、専門的で信頼性が高いとみなされることが一般的です。これによりクライアントとの関係が強化され、継続的に執筆依頼を受けやすくなります。
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文章の独自性を高める
同じトピックについても、リサーチの角度や深さによって異なる視点を提供することができます。リサーチが充実するほど、他の記事とは一線を画した個別性のあるコンテンツを作成することができます。
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法的問題の回避
誤った情報を提供すると、誹謗や偽情報の拡散といった法的な問題に巻き込まれる可能性があります。ライターの場合、誤った記事を書くと取引先に損害を与えてしまいます。リサーチをしっかりと行うことで、これらのリスクを最小限に抑えることができます。
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読者のニーズへ応える
記事を書いた後は、読者の反応をリサーチしましょう。そうすることで、読者が何を求めているのかを理解し、そのニーズに応じたコンテンツを提供することが可能になります。僕は自著のAmazonレビューなどを時々調べ、改善につなげようと努めています。
リサーチを怠ると起きる問題
次は、逆にリサーチが不十分だと起き得る問題について考えてみましょう。リサーチは面倒かもしれませんが、おろそかにすると以下のような影響が考えられます。
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信頼性の損失
誤った情報を提供すると、読者やクライアントからの信頼を失う可能性があります。一度信頼を失うと、それを回復するのは非常に困難であり、将来的な読者数の減少やリピート率の低下につながることは明らかです。今は読者が簡単に読んだものの誤りを指摘できますから、取り返しのつかない損失になるおそれがあります。
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法的責任
誤った情報で個人や企業などの評判を傷つけると、名誉毀損とみなされることがあります。開示請求により住所を特定され、損害賠償請求を受ければ時間的・金銭的なダメージは甚大です。
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ブランドの損傷
誤った情報を発信すると、メディアや個人のブランドに対する長期的な損傷をもたらすことがあります。信頼と専門性は時間をかけて築かれるものであり、一度崩れると修復するのが難しい場合が多いです。誤った情報を発信すると、クライアントやメディアからの信頼も失い、将来的な協力や関係構築が困難になります。
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意思決定への悪影響
ビジネス記事は経営者や投資家など、重要な意思決定を下す人々によって読まれることが多いです。誤った情報に基づいて意思決定が行われると、経済的な損失や戦略的な失敗につながることがあるため、非常に重大な問題となりえます。僕の場合、節税や投資などお金に絡む情報発信をしているので、読者をミスリードしないよう常に意識しています。
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修正のコスト
公開された情報に誤りがあることが発覚すると、修正対応を求められます。修正には当然ながら時間と労力が必要ですから、できるだけ避けたいところです。場合によっては報酬を辞退することにもなりかねません。
リサーチの方法・手順
リサーチの重要性をご理解いただけたと思いますが、かけられる時間には限りがあります。効率的に執筆を進めるためにも、リサーチの基本的なステップと目的を理解しておきましょう。
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トピックの特定
書こうとしているトピックとその範囲を明確にし、何をリサーチするのかの方向性を確立してください。過去のことを書くのか、今後の予測を書くのかによっても、リサーチの方向性は変わります。
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情報の必要性の分析
誰が読者であるか、何を知りたいのかなど、具体的なリサーチの目的と必要な情報を明確にします。読者が求める以上のことをリサーチしても活用できないので、適切な情報量を考えるようにしましょう。
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情報源の選定
信頼できる情報源を選びます。僕がとくに利用しているのがウェブ上で公開されている官公庁のパンフレットです。できるだけ最新版をチェックします。このときは他人の書いた記事を参照することもありますが、これをそのまま引用せず、その記事に書かれている出典にあたることが大事です。
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初期リサーチ
ピックアップした情報源のすべてを詳細に読み込むことはしません。まずはざっと基本情報を知るために初期リサーチを行います。僕はあらかじめ記事の構成を立ててリサーチをすることが多いので、構成に合わせて参照リンクなどをメモしています。
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詳細リサーチ
この段階から徐々に記事を書き始めます。トピックに関連するウェブサイトや本などから詳細な情報を調べ、記事に反映していきます。
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情報の評価
詳細リサーチと合わせて行いたいのが、情報源の信頼性を評価することです。情報の出典が信頼性のあるものであること、最新であること、偏りがないことなどを確認します。
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追加リサーチ
ここまでに記事の大半は書き終えていますが、いくつかさらなる確認が必要な記述があるはずです。「これって本当かな?」と感じる箇所があれば、別の情報源にもあたることで間違いを防ぐことができます。
ドラフトの作成中に新たな情報の必要性が発生した場合、追加のリサーチを行います。
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最終確認
記事を完成させる前に、全ての情報が正確で最新であること、引用が適切に行われていることなどを最終確認します。僕はWordで記事を納品する際、コメント機能を使って参照情報を明記するようにしています。
まとめ
リサーチはライターが身につけておくべき必須スキルです。これができるだけで情報発信者としての信頼が高まり、活躍の場が広がります。基本的な手順を身につけておくと一生使えるスキルになります。