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『The Everyday Hero Manifesto』とは
『The Everyday Hero Manifesto』を直訳すると「毎日のヒーロー宣言」。自分のうちなるヒーローを解き放ち、最高の人生を送ろうというテーマの本です。
実践的な自己啓発本
副題の「Activate Your Positivity, Maximize Your Productivity, Serve The World」を読むと、よりこの本の内容がわかります。前向きに考え、生産性高く、世界のために尽くそう、といった内容です。
この本は2021年9月に発売されたもので、邦訳はまだ出ていません。Amazonではすでに2,200件以上のレビューがありますから、かなりのベストセラーといえます。
読んでみての感想ですが、かなり実践的な内容の自己啓発本という印象をもちました。巷には単に「楽観的になりましょう」みたいな思考法だけの自己啓発書が多いですが、これでは自分の行動にほとんど落とし込めません。一方この本は、すごく具体的な内容が書かれているので、これを実践すれば人生に良い影響があると思いました。
著者のロビン・シャーマ氏
著者のロビン・シャーマ氏はもともと弁護士をしていた人物です。いわゆるエリートとしてのキャリアを歩んでいたのですが、人生に充実感を持つことができずに、25歳の時に作家になることを決意したそうです。
しかし最初の本はまったく売れません。そこで彼は30歳になってから、「自分は天才だ」と自己暗示をかけて行動を変えるようにした。さらには早起きをしてセミナーに参加したりして、生産性や自信、幸福感を高める研究を行ったのです。
この行動が良かったのか、その後に出した2冊目の本が大ヒットして、専業作家になりました。現在は執筆活動のほか、ナイキやマイクロソフトなどでリーダーシップやモチベーション向上のための講演活動もしています。
5つのシフト
本書では、著者のいうヒーローになるため5つの重要な変化があると書かれています。
「できない」から「できる」へ
まずは「できない」から「できる」へ考え方を変える。この前向きな気持ちを維持するには、感謝の気持ちが大切だといいます。
ロビンさんは、毎朝起きた時にこのような言葉を言うそうです。そして感謝の気持ちを持って1日を過ごすのだそうです。
私は今日一日、すべての美しいもの、喜び、興奮することに対して感謝します。
毎日いろいろなことがあって、ネガティブな感情が浮かぶこともありますよね。それ自体はやむを得ません。そんなとき、ロビンさんは「そこ(ネガティブな感情)に深入りしない」とささやくことで、気持ちを切り替えているそうです。これも実践したいことですね。
「言い訳」から「結果」へ
2つ目は、言い訳から結果へフォーカスを変えること。何であっても、できない理由を上げればいくらでもあります。時間がない、知識がない、能力がないなどという言い訳をして行動を起こせずにいます。家族や社会の事情なんかもあるでしょう。
でもそういった否定的な声にとらわれていると、現実は何も変わりません。だから少しでも行動して、ちょっとでも進歩へ前進することが大事です。言い訳をやめて、自分の行動の結果に着目しましょうということです。
「過去」から「今」へ
次は過去から現在に視点をシフトすること。人は過去に否定された経験や失敗の影響を受けてしまうもの。著者も過去の失敗経験がトラウマになっていたと言います。
けれども過去に失敗したからといって、この先も上手くいかないと決まったわけではありません。過去に縛られずに、現在どうするかが大事。今に目を向けましょうということです。
世界中の成功者に共通するのは、過去に失敗をしていることだそうです。そうした失敗を糧にして、現在あるいは将来を良くしようとする前向きな姿勢をもっていることも、成功者の条件なのでしょう。このことは僕たちに勇気を与えてくれます。
「忙しさ」から「生産性」へ
4つ目は、多忙から生産性へのシフトです。成功者は常に仕事で忙しく、休む暇がないというイメージがありませんか。でも実際は、多忙は成功の条件ではなく、必ずしも収入につながるものでもありません。また収入が多くても、忙しいために幸福感がないという人も少なくないはずです。
一番良くないのは、その忙しさが収入にも自分の将来にもつながっていない状況です。たとえば、ついついスマホでSNSをチェックすることに過度に時間を使っていると、忙しいのに何も生産できなくなります。このような時間は意識的に減らしていかなければいけないと思います。
「奪う人」から「与える人」へ
最後の5つ目は、奪う人から与える人へ、というもの。僕はライターとして各界の著名な方ともお会いをすることがあります。そういう方たちは、できるだけ与えようという考えの方ばかりです。相手から奪ってやろうみたいな態度はまったくありません。
そういう姿勢だから仕事が続くのでしょう。奪う戦略は、最初はうまくいくかもしれませんが、テイクばかりだと人は離れていくと思います。継続的に成功しようと思ったら、与えることが大事なのです。
ただ、やはり自分が何も持っていないのに与えるのは難しいですよね。だから、まずは自分自身が豊かになって、幸せになって、それから与える人になる。その順序がいいのかもしれないと僕は思っています。
心・身体・環境を整える
ここまで、視点や考え方について5つのシフトをお伝えしてきました。次は具体的な行動の話に入っていきます。
サリンジャーが自宅にトンネルを作った理由
まず取り組みたいのが、心と体と環境を最適な状態に整えることです。本書では、自分の人生にとって邪魔になるものを徹底的に排除することを勧めています。
『ライ麦畑でつかまえて』の著者、サリンジャーというアメリカの有名な作家は、自宅とオフィスをつなぐ地下トンネルを作ったそうです。これは、彼が自宅からオフィスに向かう通勤の間に、いつもファンに囲まれて困っていたため、人に会わずに職場に行くための行動です。
これはかなり極端な例ですが、妨げになるものをなくすことは、僕たちも考えた方がいいですよね。
僕たちにとって、邪魔になるものには情報も含まれます。ポジティブなアウトプットのためには、ポジティブな情報をインプットすることが大事。SNSでフォローする人や、読む本などにも注意して、妨げになる情報を徹底的に避けるようにしましょう。
「運動、栄養、休養」の三位一体
健康的な生活のためには「運動、栄養、休養」の三位一体が大切です。
まずは朝に運動をしてドーパミンを分泌させ、やる気を出しましょう。さらに夕方にも再び散歩やストレッチなどの軽い運動を取り入れると最高です。こうすることで集中力が高まり、健康だけでなく仕事にも役立ちます。
栄養については、自分の身体にあったものを取り入れる必要があります。そのために本書ではゲノム解析が勧められていました。
ゲノム解析では、どういう病気のリスクが高いとか、不足しがちな栄養素だとかを分析してくれます。さらには性格や仕事との相性なんかも判定できるといいます。日本でもジーンライフやジーンクエストなどの会社がゲノム解析サービスを提供しています。 オンラインで取り寄せたキットを送り返すと分析してくれるようです。
運動や栄養に関する情報はものすごく多いので、自分だけで取捨選択するのが簡単ではありません。合わないことを一生懸命やっても、無駄になってしまう可能性があるので、ゲノム解析を使って、効果が出る可能性が高いことに集中するのは合理的です。
生産性を高めるには起きて90分が勝負
現在の仕事の多くは、単純労働ではなく知的労働だと思います。私本業であるライターもそうでしょう。こういった世界では、1時間で10万円稼ぐ人もいれば、1時間で 1,000円の人もいます。
このような作業時間と収入が比例しない世界では、時間あたりの価値を上げていくことが重要になってきます。
ロビンさん自身がやっていて、推奨しているのは早起きです。朝4時半から5時に起きる。そして最初の90分は自分にとって本当に価値のある活動に集中する。読書や執筆、運動など、やることは人それぞれです。
この本では、感謝日記というものが紹介されていました。感謝したことを日記につけるだけのシンプルな方法です。これを朝起きてから10分やるだけでも、幸福感が高まって持続するという研究結果もあるようです。
逆にやめるべきは、メールやSNS、ニュースのチェックです。これらにはいい情報もあれば、悪い情報もありますが、自分ではコントロールできません。ネガティブな情報を目にする可能性がある以上、できるだけ朝の貴重な時間はスマホは見ないほうが良さそうです。
環境を劇的に変えてみる
この本では、環境が大事ということが詳細に書かれています。たとえば集中力やエネルギー、インスピレーションを高めるには、環境を変えた方がいいのです。
場所を変える
ジェームスボンドシリーズの作家、イアン・フレミングさんの場合。ジャマイカのビーチにある豪華な隠れ家で執筆活動を行ってるようです。確かに、ああいうダイナミックな作品は、自分の部屋では書けないような気がします。
僕たちはなかなかそこまでできないですよね。だから近所でもいいと思います。普段自宅で仕事をしているなら、コワーキングスペースやカフェに行ったり。ホテルの部屋を借りたりするとよさそうです。
付き合う人を変える
環境を変えることの中には、人間関係を変えることも含まれています。関わる人を変えることで、自分の行動を促進させるのです。
もしあなたが運動しようと思うなら、パーソナルトレーナーを頼ることが効果的です。何か勉強したいなら、その勉強会のグループに入る。そんなふうな工夫が必要です。
自分一人だとなかなか行動を変えるのは難しいですよね。でも、誰かと一緒だと行動を変えられます。自分だけでは早起きできない人でも、誰かと朝にジムでトレーニングする約束があれば起きられるのではないでしょうか。
人生を好転させるためには、人との関わりも活用することが大事なのです。
自分の感情に正直になる
最後のポイントは、自分の感情に正直になるというものです。
ここまでに紹介した方法を実行すれば、仕事や経済的な成功には近づけると思います。ただ、それだけで幸せになれるとは限らないですよね。成果が出せていて高収入でも、合わない仕事をし続けるのは辛い。すごく頑張ったのに幸せにはなれない。これは不幸なことでしょう。
やはり本当に幸福を望むなら、感情に目を向けなくてはなりません。そこでロビンさんは、AFRAという4つのサイクルを意識することを勧めています。Awareness(気付く)、Feel(感じる)、Release(解放する)、Ascend(上がる)の4つです。
まずは自分のネガティブな感情に気付いて、それを感じる。自分はいまどういう感情なのか、考えるのではなく感じるのだそうです。そしてその感情を手放すと決める。それから上に昇る意識で、その感情の上に立つ。つまり乗り越えるということです。
ポイントは気付くことだと僕は思います。否定的な感情に気付くことができるから、そこから本当にやりたいことを見ようとするのではないでしょうか。自分が注力すべきことがわかれば、より生産性や収入もあがるでしょう。やりたいことに向かっているのですから、幸福にも近づける。それがロビンさんが説いていることです。
まとめ。シンプルな方法でなりたい自分に近づく
自分が持っている可能性を開けば、誰でもなりたい自分になることができます。そのために、よいインプットをして、生産性を高めて、感情と向き合う。本書で語られているのは割とシンプルな方法です。普段の生活で意識しながら、なりたい自分に近づけるようにしていきたいですね。
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※本記事は執筆時点の情報に基づき掲載しています。制度のルールなどが変わる可能性がありますので、最新の情報をご確認ください。
【今回紹介した本】
・The Everyday Hero Manifesto