こんにちは、よしこばです。
久しぶりの投稿になってしまいましたね。最近は仕事ばかりしていました……。
もうすぐ独立して1年を迎えますが、おかげさまで毎日仕事が切れることがありません。ただ、忙しいときこそリフレッシュも大事なんですよね。とくにライティングは頭を使うので、疲れた脳をクリアにしてあげる必要があるように思います。
そんなときのリフレッシュ法は人それぞれだと思いますが、完全インドア派な僕は、本や映画など、仕事と関係ないものに触れることでリフレッシュしています。読書の場合、僕の場合はとくに児童書やYA文学に触れると、ふだん書いているビジネス系の文章から離れるせいなのか、気分がスッキリしますし、乾いていた感性に水をあげるような感じがします。
ということで、今月も仕事で「フィンテック」とか「相続時精算課税」とか「デット・エクイティ・スワップ」など固いテーマのライティングで頭がいっぱいいっぱいになっていたところ、知人から「作家デビューした」との嬉しいお知らせがあり、早速読ませていただきました。これが本当に良かった。新たに仕事に向かう気力もいただきました。
その本がこちら。
「わたしの空と五・七・五」(森埜こみちさん著)
今回のブログは、ちょっとだけこちらの本の感想をご紹介したいと思います。
僕にもあったな……という思春期のザワザワ
主人公は中学生の空良(そら)。
物語は入学して10日目の朝から始まります。
学校では、なんだか性格のキツそうな女子や、活発な男子が登場し、初めての環境に戸惑う空良の気持ちが描かれています。
机の上にひじをつき、ぼんやりした。このままではまずい。そうは思うのだ。そろそろ友達の輪の中に入らねば。じゃないと、あの違和感がやってくる。自分だけ回転木馬の外に経っているような、ものさびしい違和感。
こういう感じ、僕も分かるなあ、と思いました。後から考えると、なんであんなに入学時に同級生と馴染み難く思ったのだろうと不思議になるんですが、自分だけが仲間はずれになったような感覚を感じることってありますよね。
大人になって思ったのは、たぶん、「自分だけじゃなくて誰しもがそうした疎外感を持っていたんだろうな」ということ。そこを突破できる勇気のある人もいるし、そうではい人もいるでしょう。僕は割と引っ込み思案な方だったので、自分から話しかけることが苦手だった気がしますが、そんな自分に話しかけてくれて、友達になってくれた人たちには、いまでも感謝しています。みんな元気かな。
俳句でつながるキモチ
この本では、主人公はひょんな縁から伝統ある文芸部に入部します。
文芸部では部員を募集するためチラシをくばっていているのですが、いっこう部員が増えません。そんな状況に、先輩部員の谷崎さんは「それならなぜ、部員が殺到しないのか!」と憤ります。そして自ら答えた言葉が、僕の印象に残りました。
「それはね、隠したいから。認めたくないから。自分はいつも本音でしゃべってますって顔してたいから。つまり、ほんとうの本音を隠したいから。なぜ隠すかといえば。本音はうじうじしているからよ。嫉妬だってあるし、劣等感だってある。相手のことが嫌いで、腹のなかで、あっかんべーをしていたりする。腹のなかには、そういううじ虫がいるのよ。みんな、このうじ虫を飼いながらすごしているわけ」
これはちょっと痛いところを疲れた感じがありますね。ライターになって色んなメディアで記事を書かせてもらっているのですが、逆に自分の本音を出さない文章の書き方に長けてきたようなところがあって……。だから「物語をつくる」ことも頑張りたいと思っているのですが、こちらはライティングの仕事のようにうまく進みません。まあ、気長に向き合っていくつもりですが。
さて、空良の物語は、この後、新入生を集めるために、「句会」という、俳句を持ち寄って、いい作品を参加者で選び講評する催しを企画します。初めて俳句を作る空良は、どうやって俳句を作ればいいのかというところから学びながら、そこに彼女の気持ちを表していきます。
ここの経緯は、ネタバレを避けるため紹介しませんが、エンディングまでに進むテンポ良いストーリーと、俳句という表現を借りて丁寧に描かれる登場人物の気持ちなど、読み応えありです。そして読後感も爽やか。「自分も何か創りたいな」という創作意欲がわくこと必至です。さて自分も頑張ろう。