10年前、僕は国税局に勤めながらライター塾に通っていました。今こうしてフリーランスとして自由に暮らせているのは、100%あのときの出会いのおかげです。
ライターという仕事があることさえ知らなかった
今から10年ほど前、僕はあるビジネススクールに通っていました。新卒で東京国税局に就職して仕事の不満は特別なかったのですが、ちょっと他の世界を覗いてみたくなったんですね。
そのビジネススクールは、「本当は何がやりたいのか」を重視していました。だから僕も最初は色々と自分らしい起業プランを考えてみたのですが、どれもしっくり来ません。そうしてふと思い至ったのが「文章を書く仕事をしたい」ということでした。僕は子どもの頃から本を読むのが好きで、本を作る仕事ができたら素敵だな、と思ったのです。
ただ当時の僕は知識がなく、文章を書いて暮らすには小説家になるかマスコミの記者になるしかないと思っていました。とはいえ小説で食べていく自信はなく、30歳を過ぎてマスコミに転職するのも難しい。
やりたいことはおぼろげに見えていましたが、それで食べていけるイメージをもてません。スクールの同級生たちは起業プランを立てて色々活動しているのに、僕は動くに動けない状態が続きました。
そんなときに出会ったのが、上阪徹さんの「職業、ブックライター。」(講談社)という本でした。ビジネススクールの近くにある書店でこの本を見つけたのは、運命だったのかもしれません。
上阪徹のブックライター塾の1期生に
上阪さんの本を読み終え、世の中に出ている本の多くは、プロのブックライターが取材して執筆しているという事実を知りました。そして、取材や執筆のノウハウ、1日のスケジュールなど、ライターのリアルを学びました。
何より印象深かったのは、著者の上阪さん自身がとても幸せな働き方をしているように思えたことです。小説家ではなく、マスコミに所属しているわけでもない。それでも文章を書いて食べている人が現実にいることに、僕はとても勇気づけられました。
実はその後、プロのライターの方の本を何冊か読んだのですが、中にはネガティブな内容のものもありました。もしも僕が上阪さんと出会う前にそういった本を読んでいたら、ライターを目指すことはなかったかもしれません。
上阪さんの本に感動した僕は、ふと「感想を直接伝えたい」と思いました。そこでFacebookで検索をしてメッセージをお送りしたところ、なんと長文でお返事を送ってくださったのです!
そのお返事の中で、上阪さんがブックライターを本気で目指す人向けのセミナーを準備していることを教えていただきました。
そのセミナーが、僕が1期生として受講した「上阪徹のブックライター塾」でした。
国税職員をしながらライターの技術を学ぶ
塾に通ったのは2014年の4月から5月にかけて。僕はプロのブックライターを目指す人たちに混ざって受講しました。すでにプロのライターをしている人もいましたが、僕のように未経験からライターを目指す人もいました。
あのとき、僕たちは取材や構成、執筆などのノウハウを上阪さんたプロの編集者さんから教わり、取り組んだ課題のフィードバックを受けました。今振り返っても実践的な内容だったと思います。
当時はまだコロナ前だったので、塾が終わった後は必ず飲み会があり、編集者さんなどが多数参加されていました。そこで、つい数ヶ月前までまったく縁のなかった出版やメディア業界の人たちとつながれたのは、とてもありがたかったです。
塾を卒業した後も関係性を保てたことが良かったと思います。世の中には社会人向けのスクールが多いですが、卒業まではモチベーションが高くても、しばらく経つと情熱が失われることってありますよね。上阪塾は期をまたいだ交流会や勉強会などが開催されるので、関係性やモチベーションを保ちやすいです。
僕の場合、ライター塾を出てからすぐに独立できたわけではありません。なかなか独立のきっかけがなかったのですが、塾の交流会などに参加してつながりを維持したことで、やがて独立までの道筋ができました。
気がつけば10周年
塾を出てから10年が経とうとしていますが、今でも当時一緒に学んだ仲間はもちろん、他の期の方々ともつながっています。同期生の佐藤友美さんや田中圭太郎さんなど、活躍されている方も多く、時に相談をしたり、仕事を紹介し合ったりしています。
そして先日、上阪徹のブックライター塾の10周年記念交流会が開催されました。気がつけばもう10周年……!
丸の内のレストランを貸し切っての開催で、会場には塾の卒業生や編集者さんなどがひしめきあっていました。こちらは当日の写真ですが、これでほんの一部の人数です。
やはりここ数年はコロナで皆さんとお会いできていなかったのですが、久しぶりの再会を楽しみました。また、新しい期の方たちからもたくさん声をかけていただきました。僕の本やYouTubeを見てくださっているとのことで、ありがたいかぎりです。
ちなみにパーティーには出版業界などの方も多く参加されていて、塾生さんのポートフォリオ冊子が配られました。これが結構なボリュームで、なんと卒塾生さんは280名を超えるそうです。
それにしても、これだけの人が集まるのは並大抵のことではありません。上阪さんはよく「この塾に来ると運気が上がります」とおっしゃるのですが、たしかに理屈では説明できないパワーを感じます。
ライターに限らずですが、先行き不透明な独立に挑戦するなら「誰の背中を追いかけるか」がとても大事です。僕は上阪さんが道を照らしてくださっているので、安心して続けられています。