職場を辞めたこと、ありますか?
僕はありません。
大学新卒で今の職場に入り、10年超なのですが、割と安定した会社ということもあり、退職といえば、定年退職か、寿・出産退社くらい。
その他の事情で中途退職する人は、まわりにもいませんでした。
そんな中、僕は今日、職場に退職を申し出ました。
はっきりと退職の意思を示したのは今回が初めてですが、実は過去にも、「退職を検討している」として上司に相談することはありました。
さきほど書いたように、中途退職が一般的な職場ではないので、当時の上司も対応に困ったと思います。
1回目は4年前くらいだったでしょうか。
他にやりたいことがあったわけではなかったのですが、実家の事情で、地元に戻る必要が出てきたので、上司に退職を検討していると相談した時です。
その時の上司の返答は、
「年収が300万円になるぞ。」
今思えば、どう考えても根拠のない言葉です。
でも当時はその言葉を信じ、恐れをなしました。
その言葉の後、上司からは今の職場での今後の可能性などを理由に説得され、今までの実績や人柄などを褒められたりして、遺留されました。
その後、弟が転職して地元に帰ることになり、当面の問題はなくなりましたので、退職ということは考えなくなりました。
2回目は、昨年の今頃です。
今度は、ライターの仕事をしたいと考えていたのですが、まだまだ不安が大きく、自分としても煮え切らない状態でした。
ですから、今の仕事をしながら、ライターの仕事をする道がないか、ということを考え上司に相談をしました。
しかし、副業・兼業の制限があることから、僕の希望はかないませんでした。
もし他の仕事をするとなると、今の仕事は辞めなければなりません。
その相談をしていた時の上司からの質問がこちら。
「お子さんが、私立の学校に行きたいと言い出したら、どうする。」
これまたシビアな言葉で、なかなかに深く心に刺さりました。
教育費、住宅ローン、税金、社会保険料。考え出すと、不安は大きくなる一方です。
新しいことを始めようとするワクワク感が、いっぺんに吹き飛びました。
そんな過去を思い出しつつ、今日。
いよいよ、退職の意思は固まっています。
年収が減ることも、教育費の高騰も不安でしたが、少しずつ解消していきました。
「食べていけるか?」ではなく、「食べていくんだ!」と今は思っています。
そんなわけで、今日。
たまたま、上司との個別面談があったのですが、今後の希望部署の聴取などもあったので、このタイミングしかない、と思いました。
ただ、以前の上司の反応を思い出し、「今回はどんなこと言われるんだろ?」という緊張がかなりありました。
退職って、はっきり言えば、色々な関係者の期待を裏切ることですからね。
僕はどちらかと言えば、人の期待に応えたいと思っているので、モヤモヤした気持ちは消えません。
でも、誰かの期待を裏切ってでも、動かなければいけない時はあるんです。
ということで、言いました。
上司からの異動部署がどこかという質問に対して、
「実は、他にやりたい仕事があり、今の仕事を辞めようと考えています。」と。
上司は驚いていました。
「退職して何をするのか?」と聞かれたので、
ライターの仕事をしていきたいということ、
その仕事をするためには今の仕事を辞めなければいけないこと、
それでもやりたいこと、を上司に伝えました。
その後の上司からの返答は意外なものでした。
「ワシ(上司の一人称)にも、あなたみたいな文才があったらのう…」
仕事でここしばらく、会議の資料などをこの上司と二人で作っていたのですが、僕がほとんどの資料の文章を作成しながら、上司のたまに作る文章を手直ししたりしていたからでしょうか。とつぜん褒められました。
さらに、会話は続きます。
「あなた、何歳じゃったっけ?」
「35歳です。」
「ほうか。まだまだこれからじゃのう!ワシは57歳じゃけ、もうここから新しいことを始めるのはしんどいのう。」
「えっと…どうでしょうかね。ちょっと、分かりませんが。」
「いやー、もう無理じゃ。いっぱいいっぱいじゃ。」
ここで、なぜか話が僕の退職ではなく、上司の話になりそうになったので、軌道修正する必要がありましたが、最終的に、僕の退職の意志はきちんと受け入れてもらいました。
最後に
「退職の予定までまだ日があるから、新しい仕事のことよく調べてみて、こりゃ条件が悪すぎる!ってなったら、また考え直したらええ。」
と言っていただきました。
ありがたいことです。
僕は、退職を告げる相手が、今の上司でよかったと思いました。
さーて、いよいよ人生が動いてきた感じがします!
やるぞー。
ちなみに、上司からはライター業について色々と聞かれたのですが、とりわけブックライター(書籍のライター)について興味を持たれたので、上阪徹さんの「職業、ブックライター」を渡そうと思っています。
僕が退職する、一番大きなきっかけになった本です。
- 作者: 上阪徹
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